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公開日:2018.11.02

大正13年の九大フィルによる「第九」邦人初演の楽譜を発見!演奏の詳細が解明 〜大正期の九大フィルの先駆的交響曲演奏の背景も明らかに~

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 本学の学生オーケストラである九大フィルハーモニーは、医学部精神病学教室の初代教授・ 榊保三郎博士によって明治39(1909)年に創立されたわが国で最も長い歴史を有するオーケストラの一つです。わが国でいち早くオーケストラの標準的な2管編成を整え、大正8(1919)年5月のモーツアルトの交響曲第40番の演奏を皮切りに、毎回の演奏会で次々と名だたる交響曲を福岡市民に紹介していきました。その白眉とも言えるのが、大正13(1924)年1月26日に後の昭和天皇である摂政宮の御婚礼奉祝音楽会で行ったベートーヴェンの第九交響曲の最終楽章の演奏でした。これには「ベートホーフェン作曲第九交響楽最終楽章中の快速調及び荘厳なる緩徐調に文部省撰奉祝歌詞を榊保三郎が適応せるものなり」という説明がつけられており、替え歌ですが部分的でも「第九」を日本人が初めて演奏した記録になります。
 この度、九大フィルハーモニー・オーケストラ顧問の松村晶教授(工学研究院)と21世紀プログラム生(本年3月卒業)の戸野本昌平さんが、本学の大学文書館と東京藝術大学附属図書館に保存されている九大フィルや榊教授が使用した1600点以上の楽譜を調査したところ、この演奏会で使用した「第九」の楽譜がそれぞれで発見され、説明にある「快速調」と「荘厳なる緩徐調」の箇所が特定できたとともに、当日の演奏の詳細が明らかになりました。それによると当日の演奏時間は10分ほどだったと想定されます。さらに、九大フィルは大正4〜7年にかけて大阪で活動した羽衣管弦団が解散した際に沢山の楽譜を譲り受けていました。大学文書館に保存されている約700点の楽譜の中から、楽譜の特徴や書き込みなどから215点を羽衣管弦団由来であると判定することができました。それによって、羽衣管弦団の活動についていくつかの新たな事実が明らかになりました。これらの楽譜は大正期の関西地区での西洋音楽活動を具体的に示す貴重な史料と言えましょう。さらに、羽衣管弦団から楽譜を譲り受けたことが、九大フィルがその後にわが国でも先駆的な交響曲の連続演奏の契機になったことも、時代背景や様々な状況から明らかになりました。
 今まで伝聞や口承で書き留められていた九大フィルの活動記録の一部が、楽譜という具体的な資料から詳細に確認できました。これまでえてして美化されて言われがちだったところがありますが、具体的な演奏活動が明らかにされて、先人の偉大さと活動の先駆性を改めて認識致します。
 なお、これらの研究成果は、平成30年11月3, 4日に桐朋学園大学で催される日本音楽学会第69回全国大会で講演発表されます。

「第九」第1ヴァイオリンパート譜 (九州大学大学文書館蔵)

「第九」合唱用総譜の表紙  右端に「 大正十三年一月廿六日皇太子殿下御成婚奉祝音楽会ニ於テ此コーラス管弦楽ヲ演奏ス 歌詞ハ文部省奉祝歌ヲ用ユ 」とメモ書きがある。(東京芸大附属図書館蔵)

「第九」合唱用総譜の一部 日本語歌詞(御成婚奉祝歌)が割り振られている。(東京芸大附属図書館蔵)

大正13年1月26日に福岡市記念館で催された摂政宮殿下御成婚奉祝音楽会。市内の各学校の生徒や教師約180名が参加した。オーケストラ編成は32人であり現在の標準からすると少ないが、当時では最大規模であった。

お問い合わせ

九大フィルハーモニー・オーケストラ 顧問
工学研究院 教授
松村 晶
電話:092-802-3486
FAX:092-802-3489
Mail:syo★nucl.kyushu-u.ac.jp
※メールアドレスの★を@に変更してください。

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