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機能性を示す食品成分の組合せを簡便に発見できる新技術を開発  —「成分の組合せ」を活用した機能性食品開発への応用に期待 —

2017.05.24
研究成果Life & Health

 多彩な成分を含む食品の機能性(保健効果)を単一の含有成分の量や効果の強さといった情報で説明しようとする現状の科学的評価技術には重大な欠点があり、複数の成分の影響を厳密かつ同時に評価することができません。そのため、当初想定された機能性をうまく享受できず、効能を得るために大量摂取するなどの原因にもなっています。 
 九州大学大学院農学研究院の藤村由紀特任准教授、三浦大典特任准教授、立花宏文主幹教授、早川英介特任助教(現在、沖縄科学技術大学院大学)らを中心とする共同研究チームは、混合物試料中の成分情報を簡便かつ迅速に取得できる質量分析技術(MALDI-MS: Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization-Mass Spectrometry)を構築すると共に、多彩な保健効果が知られている緑茶抽出物の抗酸化活性を、成分組成情報(成分の相対量バランス)から高精度に評価できる計量化学的技法(メタボリック・プロファイリング法)の開発に成功しました。本技法により、複数の含有成分の中から抗酸化活性を高精度に予測できる「成分の組合せ」の簡便な抽出・同定が可能となりました。
 今後、本技法の応用により、食品や農産物などの混合物試料の簡便な機能性評価、従来法で見落としていた有用成分の発掘、機能性を効果的に享受できる「成分の組合せ」情報を活用した『機能性デザインフード』の開発などに役立つことが期待されます。
本研究成果は、文部科学省イノベーションシステム整備事業「先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム」および科学研究費助成事業の支援によるもので、2017年5月23日(火)午前10時(英国夏時間)に、国際学術雑誌Nature姉妹誌のオンラインジャーナル「Scientific Reports」に掲載されました。

(参考図)新規機能性評価技術「MALDI-MSメタボリック・プロファイリング法」の概念図

研究者からひとこと

「単一成分」ではなく、「成分バランス」に着目することが、医薬品とは異なり、様々な成分の複合物として摂取される食品の“正味の保健効果”をより正確に把握する上で重要となってきます。機能性を示す「成分バランス(組合せ)」を理論的に導出できる今回の技術は、“機能性を効果的に享受できる食品の開発”や「成分の組合せ」情報を活用した新たな“食べ合わせ”の提案に役立つものと考えています。

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