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研究成果

公開日:2019.09.26

妥当性・信頼性の高い「身体的フレイルの簡易チェックシート」の作成
―地域在住高齢者のフレイル予防事業の推進に期待―

研究成果 医歯薬学

 フレイルとは、年齢を重ねるとともに心や身体の余力が衰え、ストレスに対して抵抗力が弱まっている状態です。フレイルは、将来の認知機能低下、認知症発症および要支援・介護認定のリスク因子であることが報告されていることから、簡易フレイルチェックシートの開発が課題となってきました。
九州大学キャンパスライフ・健康支援センターおよび大学院人間環境学府の熊谷秋三教授、大学院人間環境学府博士課程3年の陳斯氏らの研究グループは、糸島フレイル研究を展開中であり、このたび妥当性・信頼性の高い簡易フレイルチェックシートを作成しました。
 今回のチェックシートでは、僅か6つの質問項目から簡易にフレイル評価ができるようになります。わが国ではフレイル予防を市町村の高齢者介護支援事業の一つとして位置づけ、令和6年度から全国一斉で実施されるフレイルチェック事業とその予防に取り組むことが決定していることから、そこでの有効利用が期待されています。
 今回開発された簡易フレイルチェックシートは、良好な信頼性(再現性)が示されたと共に、各項目に対応する客観的な測定値とも相関することから、高い構造的妥当性が示されました。身体的フレイル(Fried Frailty Phenotype)評価にとって、今回開発した簡易フレイルチェックシートは良好な診断精度があることも示されました。すなわち、チェック該当項目の数が3つの場合が、日本人の地域在住高齢者におけるフレイルスクリーニングのカットオフ値となることが実証されました。
 本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)IoT等活用行動変容研究事業および糸島市‐住友理工株式会社‐九州大学の社会連携事業の個別共同研究(住友理工株式会社、糸島市)などの支援を受けており、この研究成果は、科学誌「Journal of the American Medical Directors Association」のオンライン版に令和元年9月12日(木)に掲載されました。

図1 身体的フレイルの操作的定義(Chen,S.,Kumagai,S.,et al.:BMC Geriatrics, 15:2019)
 今回の簡易フレイルチェックシートの妥当性検証に用いられた身体的フレイルの操作的定義とその基準を示している。この調査には1週間以上の調査が必要となり、市町村のチェック事業に用いることは難しい。

表1 簡易フレイルチェックシート
 日本人前期高齢者のために新たに作成された簡易フレイルチェックシートは日本の介護予防の領域で広く利用されている既存項目を選んで、身体的フレイルの項目と一致性が高い質問項目を最終的に決めました。上記の5項目・6つの質問項目に回答するだけで、図1に示した身体的フレイルの操作的定義の基づくフレイル評価と同等の精度でフレイルを迅速に判定することができます。この簡易フレイルチェックシートは、市町村で今後行われるフレイルチェック介護予防支援事業での活用が期待されています。

研究者からひとこと

私たちの研究グループでは、フレイル予防に留まらず、高齢者の生活機能改善を通して高齢者の自立に向けた取り組みを産官学で取り組んでいます。

研究に関するお問い合わせ先

熊谷 秋三 キャンパスライフ・健康支援センター 教授
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