Research Results 研究成果

大学生向けメンタルヘルスアプリの開発

〜ポイントは大学生目線のデザイン〜 2020.10.07
研究成果Humanities & Social SciencesLife & Health

 九州大学キャンパスライフ・健康支援センターの梶谷康介准教授、松下智子准教授、福盛英明准教授、大学院芸術工学研究院の金大雄教授、東島育美大学院生(当時)、サイバーセキュリティーセンターの金子晃介准教授らの研究グループは、大学生向けのメンタルヘルスケアのためのスマートフォンアプリを開発し、その効果を検証しました。検証の結果、開発されたアプリを使用した大学生は、使用期間が2週間と短期間であるにもかかわらず、精神健康度の尺度(GHQ-12:General Health Questionnaire-12)が、非使用群と比べて有意に改善することが分かりました。またアプリのデザインについては93%が、使用感についても86%のユーザーが、“満足”“やや満足”と回答しました。本アプリの開発は、試作アプリを大学生に実際に使用してもらい、アンケートやログデータ解析の結果を元にブラッシュアップを重ねて完成に至りました(梶谷ほか,健康科学,39巻,65-70,2017、梶谷ほか,健康科学,40巻,33-34,2018)。本研究は「大学生向けのアプリ開発からその効果の検証までを、精神医学と芸術工学という異分野の協力によって行なった点」が世界的にもユニークであり、今後の学生支援の新たな選択肢となることが期待されます。
 本研究成果は、2020年9月26日(土)午前4時(日本時間)に国際雑誌PLOS ONEに掲載されました(https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0239592)。
 本研究は、科学研究費助成事業 (JP16K13031)、一般財団法人ヘルス・サイエンス・センター、および学内研究助成QRプログラム(わかばチャレンジ)の助成を受けたものです。

(参考図) アプリの操作画面

日々の健康状態(食事、運動、睡眠、気分)をカレンダー方式で入力します。入力はピクトグラムを採用し、ユーザーに分かり易く表現しています。また精神疾患の簡易診断機能も備えています(機能の詳細は次ページ参照)。
※アプリのダウンロードは学内LAN(kitenet/edunet)のみ可能です。
※使用時に専用のIDとパスワードが必要となります。
※学外の方はアプリをダウンロードできません。

詳細な情報【アプリの基本設計】

研究者からひとこと

コロナ禍で大学生のメンタルヘルスがとても心配です。まだ研究段階ではありますが、大学生目線で作成されたこのアプリが将来的に多くの大学で利用され、学生支援に役立てば嬉しいです。まずは学内での運用を目指したいと思います。

論文情報

Short-term effect of a smartphone application on the mental health of university students: A pilot study using a user-centered design self-monitoring application for mental health , PLOS ONE
DOI:10.1371/journal.pone.0239592

研究に関するお問い合わせ先

九州大学キャンパスライフ・健康支援センター Q-Mental APP窓口
Mail:q-mental-app★chc.kyushu-u.ac.jp
※メールアドレスの★を@に変更してください。