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核融合に向けた成果 nature 掲載

2008.08.08
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 九州大学は、炭素、水素、核融合と、現在から未来に向けたエネルギー研究を進めています。

 

 平成20年7月27日付けの"nature physics"(online版)に、九州大学応用力学研究所の伊藤早苗教授グループの研究成果である"Anatomy of plasma turbulance"(プラズマ乱流の解剖)が掲載されました。(下記のURLを参照。)

 

 「地上で太陽を燃焼させる」理想的なエネルギー源として期待される核融合。その燃焼状態実現に向けては、世界各極(日、欧、米、露、中、韓、印)の共同事業としてフランスに建設中のITER(国際熱核融合実験炉)をはじめ、様々な研究が競って行われています。
 しかし、磁場で閉じ込められたプラズマには乱流が生じ、乱流によってプラズマの吐き出しが起こって燃焼が困難になるなどするため、プラズマ乱流の制御は核融合を達成するための大きな課題です。

 

 今回の研究成果は、乱流の複雑な動きの中に働く仕組みを精密に直接観測し、その非線形機構を解明することに世界で初めて成功したものです。これは、乱流の制御法の原理を創出して核融合燃焼状態を実現するという目標への確かな一歩となるとともに、ITER成功への基盤づくりを基礎物理から行った研究成果となりました。

 

 平成20年7月22日(火)から25日(金)までの間、筑紫キャンパスにおいて日本で初めて開催した「ITER国際夏の学校」のため応用力学研究所を訪問中のF.Wagnerヨーロッパ物理学会会長は、「nature誌にプラズマ物理で発表できるのは非常に稀で、今回の研究で追求された原理は、プラズマ物理のみならず化学や生物学の分野までも通用するもの」と、今回の成果に談話を発表しました。

 

【"nature physics" 掲載】

http://www.nature.com/nphys/journal/vaop/ncurrent/full/nphys1029.html

 

【プレスリリース資料】

http://www.kyushu-u.ac.jp/pressrelease/2008/2008-08-01.pdf

 

【写真】

プラズマ乱流について説明する伊藤教授。

 

(広報室)