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戦略的教育研究拠点として3つのセンターを新設・拡充

2005.03.01
トピックス
 世界最高水準の教育研究拠点(COE)を目指す九州大学は、重点的に推進する戦略的教育研究拠点としていくつかのセンターの新設・拡充を計画していますが、平成17年4月、そのうちの3センター
を発足させました。


(1)未来化学創造センター
 21世紀COEプログラム「分子情報科学の機能イノベーション」(拠点リーダー:新海征治工学研究院教授)は、分子の持つ「情報」という特性に着目し、「情報」と「ナノテク」を結びつける新しい分子情報学という学問の創造を目指している。
 「未来化学創造センター」は、ここで得られた成果をフル活用し、未来化学産業として期待される「情報」、「新物質」、「光」をキーワードとするナノテクを基盤にした化学研究の推進と、得られた新物質・新技術をすばやく実用化へ結びつけるためのトランスレーショナル研究を展開する。

 また、アジアや福岡の組織等との連携により、産学連携の推進、新産業の創出、そのための人材育成など、社会貢献も積極的に進める。新キャンパスを核に形成される学術研究都市に、ナノテクを中心とした「産学連携交流センター(仮称)」の設置が計画されており、「未来化学創造センター」と福岡市の間で、具体的な相互協力などの検討が進んでいる。


(2)システムLSI研究センター
 技術の進歩によって小さなチップがひとつのコンピュータの役割を果たすことができるようになり、パソコンだけでなく、携帯電話やPDA(携帯情報端末)、デジタルカメラやデジタルテレビ、自動車の車載システムなど、システムLSIは日常生活で広く利用されている。

 平成13年4月に設置された「システムLSI研究センター」(センター長:安浦寛人教授)は、システムLSIの特に設計技術の方向性を明確にし、21世紀の社会のデザインに技術の側面から指針を与える活動を展開してきた。
 福岡県と共同で進める「シリコンシーベルト福岡プロジェクト」では、知的クラスタ創成事業による研究のピーク作り、システムLSIカレッジにおける教育事業、産官学連携による地域の総合半導体産業の構築を行っている。また、「全学共通ICカード導入プロジェクト」では、ICカード化した1枚の学生証や職員証で安全に複数のサービスに対応できるといった新しい認証システムの構築、さらにそれを携帯電話や交通機関のカードと連携させるなどの研究を進めている。

 「システムLSI研究センター」は、専任教員を増やすなどにより研究開発機能を強化し、これまで進めてきた諸プロジェクトをいっそう強力に推進していく。


(3)バイオアーキテクチャーセンター
 生物生産、生物材料、生物機能をキーワードとした「生物機能デザインに基づいた物質生産プロセスの開発拠点」を構築する。
 ゲノム全塩基配列解読プロジェクトの進展により、ポストゲノム科学として遺伝子・タンパク質・代謝産物などの網羅的解析が始動し、生物学が新しい局面を迎えている。生物機能を高度に利用するためには、生体機能のネットワーク構造を理解することが不可欠である。生命の青写真は遺伝子ではなく、ネットワーク構造であるとすら言われ始めた。この新しい概念を実用生物に適用する世界初の研究組織を構築することで、画期的かつ実用的な生物生産システムおよび生体物質デザインシステムの構築を目指す。

 さらに、バイオ産業との大型産官学連携を可能にする大規模研究プラットフォーム構築による社会・産業への貢献を目指す。新技術の開発に向けて、世界有数の質量分析メーカーである(株)島津製作所から専任教授が着任するなど、実用レベルの研究を目指した連携を行っていく。