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“燃やさないエネルギー”で社会を変えていきたい。“燃やさないエネルギー”で社会を変えていきたい。 工学研究院 教授 九州大学 主幹教授 佐々木 一成

次世代燃料電池産学連携研究センター長 水素エネルギー国際研究センター長 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所・ 工学研究院 教授 九州大学 主幹教授

佐々木 一成

持前のユニークさと好奇心、揺るぎない実績により様々のプロジェクトを遂行、関連施設のセンター長も務める。水素エネルギーの研究を牽引する同大学のまさに顏であり、日本・世界の未来を担う主要人物である。

持前のユニークさと好奇心、揺るぎない実績により様々のプロジェクトを遂行、関連施設のセンター長も務める。水素エネルギーの研究を牽引する同大学のまさに顏であり、日本・世界の未来を担う主要人物である。

プロフィール

京都府生まれ、横浜育ち。学生時代はテニスサークルの企画担当、すぐに新しいことに夢中になるなど大学でも有名な遊び人。傍ら、新エネルギーの開発につながる無機材料に興味を持ち、東京工業大学工学部無機材料工学部卒業後、1989年同大学院理工学研究科原子核工学専攻修士課程修了。交換留学生として渡ったスイス連邦工科大学(ETH)チューリッヒ校の大学院で海外での研究環境に惹かれ、そのまま同校に転学。燃料電池における国家プロジェクト研究に携わる。1993年に博士号取得。1995年にドイツ・マックスプランク固体研究所の客員研究員に招へい。1999年に九州大学大学院総合理工学研究科助教授に着任。2005年に、九大で初めて研究室名に「水素」がついた水素利用プロセス研究室の教授に昇任。2011年同大学主幹教授に。

何を研究してるの?

一言でいうと、根底からエネルギーを見直し、環境にやさしいエネルギーをつくる為の研究です。エネルギーの歴史は人類が火を使い始めた時期からスタートし、18世紀の産業革命以降、膨大な量の化石エネルギー資源を燃やし続けてきました。結果、エネルギー資源の奪い合い、環境問題などが発生し、2011年3月の東日本大震災を経て、エネルギーが国の根幹に関わることがより明確になってきました。

「エネルギー=燃料」とは、燃やす材料を意味します。今まで化石燃料などの化学的な形のエネルギーをまず燃やして熱に変えてから、電気を作ってきました。比べて、化学的な形のエネルギーを燃やさずに、水素が関わる電気化学反応を利用して直接電気や熱を作り出す燃料電池は、CO2の排出を減らしエネルギーのムダを大幅に省くことができます。燃料電池を核にした水素エネルギー、つまり“燃やさないエネルギー”による高効率活用、環境共生社会をつくることが研究の目的であり使命です。

伊都キャンパスには世界最大規模の施設が完備され、マサチューセッツ工科大学(MIT)やスイス連邦工科大学(ETH)など、世界トップ大学の研究者が在室。私の学生時代の経験により、各国の若者が刺激、協力し合い、将来世界をリードしていく人材を育成すべく、国際色豊かな研究室を組織化。多国籍の学生によるチームを組み、インターナショナルな環境の中、様々な研究に取り組んでいます。研究者・社会をリードする民間企業と共に、大型燃料電池の実証研究をはじめ、国家的なプロジェクトにも多数関わっています。自分たちの研究と技術が、国の存続に関わる次世代エネルギー創生に貢献していく。その事実を肌で感じられる、最先端の環境をプロデュースしつつ、世界トップを走り続けて行きたいと、日々全力を注いでいます。

研究科目の「魅力」はココ!研究科目の「魅力」はココ!

地域からエネルギー革命を先導してゆける地域からエネルギー革命を先導してゆける

日本では各機能が首都に集中していますが、海外では地域分散が普通です。世界的に見ると、日本の方が異常とも言えます。九州・山口地域は明治維新を引き起こした地であり、明治日本の産業革命遺産が示すように、アジアで初めての産業革命を起こした地でもあります。常に革新的なことに挑戦できる土壌があり、私たちの取り組みも同様。地域の可能性を証明することにも使命感があります。

大学での研究の魅力は、自分の信念に沿ってやれるところ。大学では0から1を生み出すはじめの一歩ができます。その1から10、100にしていくのは企業や地域社会なんですね。時代の節目において社会を変える革新を行ってきた九州の地で、「燃やす社会」から「燃やさない社会」へのエネルギー革命を先導したい。地域での成功モデルをここ九州・福岡でつくりたい!社会をひっくり返せる可能性を秘めたここ伊都キャンパスで、世界トップの研究者、未来社会をつくり出していく若い学生たちと共に夢を追えることが幸せですね。

伊都キャンパスは10年後、20年後の未来を形にした「タイムマシン」であり、学生さんはそのタイムマシンに日々乗りながら、それぞれの未来の夢のイメージを膨らませることができる場所なんです。

DAILY SCHEDULEDAILY SCHEDULE


OFFの1コマ

休日もほとんど仕事に追われている佐々木先生はもっぱらフィットネスクラブの幽霊部員。時間がとれたら、ミュージカルに出演したり、ジャズダンスを踊りに行きたい!テニス活動も再開したい!と熱望中。休日もほとんど仕事に追われている佐々木先生はもっぱらフィットネスクラブの幽霊部員。時間がとれたら、ミュージカルに出演したり、ジャズダンスを踊りに行きたい!テニス活動も再開したい!と熱望中。

先生の必須アイテムはコレ!

左胸ポケットセット①スマホ

「体一つで動けるように」と必須アイテムはシャツのポケットに全部入るものをチョイス。「スマホは平べったいし、場所をとらないのがいいですよね」。

左胸ポケットセット②ペン6本セット

黒は原稿執筆用、赤は修正用、青は加筆用。メーカーuniの0.3mmを愛用。一時期大量に買い占めたことも。蛍光ペンの緑は大事な部分のマーキング用、オレンジはそれ以外。シャーペン&消しゴムはスイス留学時代から使ったことがないので、全修正用の修正ペンも含め6本。「1本でも欠けるとイライラします(笑)」。

左胸ポケットセット③レーザーポインター

プレゼンの際や視察者対応にサッと左胸から取り出して使うレーザーポインター。「7本目のペンみたいな感じです」。

学生へのメッセージ

ピンチはチャンスです!!

現在、日本のエネルギー研究は世界をリードしています。なぜなら、ピンチをチャンスにしたからなんです。「資源がない」という土壌があったからこそ、景気が良くても悪くても日本は頑張らなきゃいけない状況にあります。つまり、常にモチベーションを維持できる環境にあるんです。まだまだ出来ることは山積みで、学生、企業、社会にとってチャンスが九大にはたくさんあります。ここでは「今日、明日のことをやっていても勝てない。明後日のことをやっているからこそ社会に貢献できる」と考え、毎日多くの人々が協力し合いながら研究に携わっています。地方の可能性を証明する為にも、“ピンチはチャンス”。どんな行動にも当てはまる言葉を胸に、ぜひ目標実現に向けて頑張ってください!

取材日(2015.12)

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