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領域を超え新しい概念22Kyushu University Campus Magazine_2010.722大学院 人間環境学研究院人間科学部門 発達心理学第一大学院 人間環境学研究院人間科学部門 感性認知学NEXT Professional研究者として粘り強い。地に足が着いた研究姿勢。を「不気味の谷※」という現象と結びつけ、ロボットの人らしくない姿と人らしい行動の乖離に、怖がったのではないかという結論を導き出しました。「むしろ、仮説と逆の結果が出たほうがおもしろいんです。今までの概念を覆すこともありますからね」 広い分野に興味を持つことは悪いことではない。 現在、山本さんは、幼児の随伴性の研究から離れ、知覚心理学の研究を進めています。「今は研究のテーマを絞り込むつもりはありません。研究者にとって、広い分野に興味を持つことは悪いことではないんです。違う視点から見ることができますからね。赤ちゃんもわかるし知覚もわかる。そんな研究者がいてもいいと思っています」将来、研究においても、国際化が進んでほしい。 20世紀半ばまで、赤ちゃんは何の能力も持っていないと言われていました。研究が進んだのは、ここ50年ほどのこと。「百年後は、もっと研究も進んでいるでしょうね。個人的には、さらに国際化が進めばいいなと思っています。共同研究など、海外の視点が入れば新しい発見もあるでしょうから」 研究領域を超えた「学際性」を謳う九州大学人間環境学府。その研究理念は、若き研究者によって、しっかり受け継がれています。とにかく粘り強いです。追加で実験する場合でも、小手先で終わらせようとせずに、ちゃんとデータを取り直す。当たり前のことですが、なかなかできないことです。掲載された論文は、仮説とは違う結果を「不気味の谷」の現象と結びつけてまとめあげた点を評価しています。今は知覚の研究をしていますが、違う視点を持つのは大切なこと。彼には、領域を超えたおもしろい研究成果を期待しています。山本さんは、今すぐ結果を出そうとするのではなく、将来を見据えて、そのために、今、何をするべきかを考え、研究に取り組んでいる気がします。地に足が着いた研究姿勢には感心しますね。研究室では、和に気を配りつつも的確な意見をもって、後輩の世話もよくしてくれています。責任感があって、安定感のある学生です。彼には、小さくまとまらず大きな研究者になってほしいと思っています。指導教員より山本健太郎さんDATA■九州大学の関連WEBサイトへ■次回出演リレー九州大学 人間環境Gohttp://www.hes.kyushu-u.ac.jp/九州大学大学院 芸術工学府 芸術工学専攻修士課程 工藤達郎さんです福岡県立東筑高等学校 ↓九州大学 教育学部 ↓九州大学大学院 九州大学大学院人間環境学府 ↓ 人間環境学府修士課程修了 博士後期課程1年掲載された論文は、橋彌准教授の指導を受けて投稿。その後、知覚現象に興味を持ち、現在は、三浦教授の研究室で時間知覚を研究中。今年度から、若手の優秀な研究員を支援する学術振興会の特別研究員として採用されている。memo橋彌 和秀准教授三浦 佳世教授はし や かずひでみ うら か よ※「不気味の谷」とは、機械的なものが人らしくなっていくと、好ましさが増えるが、 人にかなり近いが人でないという状況になると、好ましさが下がるという現象のこと。実験で使われたひよこ型のぬいぐるみロボット領域を超え新しい概念

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