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6Kyushu University Campus Magazine_2010.7ずパイロットベースでよいから走らせることです。有川 大学が法人化してからは、それまでに比べてかなり迅速な意思決定ができるようになりました。ファンさんにご支援いただいているアントレプレナーシップセンターについても来年度にはスタートさせます。本学のビジネススクール(QBS)などのスタッフとも連携して、素晴らしいものにしたいと思っています。構成員の合意が必要な案件については時間をかけてでも話し合いを行いますが、そうでないことについては迅速に進めなければならないと思っています。ファン 私は、日本人は素晴らしい素養を持っていると思います。とても熱心に働きますし、ルールには素直に従います。またルールを変えればこれに素直に従います。そういう点では、新しい仕組みを作ろうと思えば、意外に容易にできると思うのです。ただこれを作っていくためのリーダーが不足しているんですね。私から見てここがはがゆいんですよ。 英語の力をつけること安浦 ファンさんのご経歴を拝見して驚くのは、日本に留学されて、九大でアイスホッケー部を作られ、それからアメリカに渡っては会社を作られました。他国に行って、さらにそこでリーダーシップを発揮して人を集めて動かして、ことを成してしまうというエネルギーのもとは一体何でしょうか。ファン 現地に行ったら現地に溶け込むことです。アイスホッケー部を創るのは、そんなに大変なことではありませんでした。私はもともとお金を作るのは得意な方でしたから。安浦 九大にも千数百人の留学生がいますが、そういう意味では、お客様扱いするのではなくて、一緒に同じコミュニティだと思ってやる方がいいということでしょうか。ファン まさにそのとおりだと思います。私はアメリカの大学で外国人だからといって特別扱いを受けたことはありません。英語がわからなければ自分で勉強してこいと言われました。生活については、留学生たちはその国に合わせてなんとかやっていくものなんです。言葉については、やはりこれは努力するしかありませんね。アメリカの学生は、外国に出ることをまったく苦にしません。それは外国に行っても英語を使えるからです。自分達が外国にいても、周りの皆が英語で話してくれるんです。そこに違いがありますね。日本の学生も、もっともっと英語の力をつければ、外国に行くことがそんなに苦にはならなくなると思いますよ。有川 私は、学生にはできるだけ長く、できれば2年くらいは外国に行ってきてほしいと思っています。若手の教員についても同様です。様々な要因で、長期に外国に行くことが、以前に比べて難しくなっていることは確かですが、これを何とかして、自分の周りの誰かが常に外国に行っているという状況を作りたいと思っています。高齢化社会が本格化するということもあって、昨年は、まずシニアの研究者に対する支援に取り組みました。これには、行き着く先のところをしっかりと整備しておいて、頑張れば将来は希望が持てるというところを若手に見せてあげたいという思いもあります。現状に対する支援を行っても、その後の行く先が不透明であればなかなか希望が持てませんからね。次はいよいよ若手の番です。本日の学位記授与式では、ファンさんの話が佳境にはいったころから、学生たちの雰囲気が変わりました。目の色が変わり、一生懸命に聞いていました。学生たちにメッセージはしっかりと伝わったと思います。安浦 お忙しい中、本日は本当にありがとうございました。対談を終えて (左から) 有川総長、ファン氏、安浦理事・副学長総長対談 ロバート・ファン×有川節夫

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