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センター地区および農学部地区に関して、北西の風を対象にした計算結果を図12と図13に示します。両ケースともに、地面付近では流入風速を大きく上回るような増速領域(強風域)は出現していないことが示されました。 最後に、風力エネルギーの有効利用に関する事例を紹介します。現在、伊都キャンパスでは、水素生成のためのクリーンエネルギー源としてレンズ風車の活用が進んでいます。具体的には、レンズ風車による電気自動車運用プロジェクトや、次世代エネルギー実証施設としての70kWレンズ風車の開発です(図14)。風車の発電出力は風速の三乗に比例するため、風車の立地は風況の良好な地点をピンポイントに選定する必要があります(「マイクロサイティング」と呼びます)。卓越風向(西風)における風況診断(図15)では、風車上流地形からの境界層の影響、地形の凹凸に伴う地形乱流の影響、土地造成に伴う気流の劇的な変化などは観察されず、レンズ風車に対して概ね適切な地点であることが示されました。おわりに 著者らが開発を進めている数値風況予測モデル「RIAM-COMPACTR」の紹介と、計画中の建物群を対象とした風環境評価、および風力エネルギーの有効利用に関する実施事例を示しました。その結果、建物周辺の風環境評価では、強風域の発生位置の確認とその対策に有効であることが分かりました。一方、風力エネルギー有効利用に関しては、レンズ風車の導入を支援する強力なツールであることが示されました。 今後、現在計画中である講堂周辺の風環境評価結果を報告する予定です。クローズアップ?Cl seup一様流入風速Uに対する風速比(主流方向(x)成分)、時間平均場、北西の風、Δx=Δy=4m、地上約2m22 Kyushu University Campus Magazine_2012.7大主流風速小大主流風速小大主流風速翼直径 : 12.8mレンズ直径 : 15.4mハブ高さ : 25m定格出力 : 70kW (11m/s)小-0.51.61.6-0.451.15土地造成の影響も正確に考慮北西の風北西の風西の風図15 70kWレンズ風車の導入を支援する風況診断、 主流風速の空間分布、瞬間場、西の風図12 センター地区の計算結果一様流入風速Uに対する風速比(主流方向(x)成分)、時間平均場、北西の風、Δx=Δy=2m、地上約2m図13 農学部地区の計算結果図14 九州大学伊都キャンパスに設置された 70kWレンズ風車2基、著者が2011年3月18に撮影

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