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した。会社がイギリスに事務所を開くことになり、その初代所長としてロンドンに渡ることになったのです。それから37年間、ロンドンに滞在しています。エレクトロニクスの会社を辞めた後、現地の銀行に入社。さらに、米国系の経営コンサルタント会社を経て、現在は科学技術政策や大学運営を中心としたコンサルタントとして活動しています。ー 九州大学ロンドンオフィスの所長に就任されたのは、どのような経緯からですか。山田 私は、『英国大学事情』というニュースレターを毎月ロンドンから日本へ発信しておりまして、九州大学にもお送りしたのです。梶山前総ロンドンに滞在していても、自分の軸足は日本にある。ー「九州大学創立百周年記念式典」および「山川健次郎九州大学初代総長胸像設置・披露式」に出席いただきましたが、どのような感想を持たれましたか。山田 九州大学の初代総長・山川健次郎が、家内の曾祖父であることを聞いたのは結婚してからです。その後、彼の書物をいろいろと読んで、九州大学における彼の功績も知りました。創立百年という節目の年に、記念式典および胸像披露式に招待いただきましたことは、親族一同、感謝するとともに、大変感動しております。ー山田所長はどちらのご出身ですか。山田 千葉県の出身です。私は、高校の頃から海外志向が強く、早く海外に出たいと思っていました。それには、人数の多い大手企業より人数の少ない企業の方が、海外へ行けるチャンスが大きいと思い、大学を卒業後、中堅のエレクトロニクスメーカーに就職しました。予想どおり、チャンスは入社5年目に巡ってきま聞き手福島 泰(ふくしま やすし)広報室長(インタビュー当時)長のときでしたが、それがきっかけで交流が始まりました。その後、ロンドンにオフィスを作りたいというご相談を受け、2004年からロンドンオフィスの所長を勤めさせてもらっています。ーロンドンの生活が長いとのことですが、日本語も大切にしていらっしゃいますね。山田 よく言われますよ。外では英語で話しますが、家では日本語で話しています。ロンドンに住んでいても、私の軸足は日本にあると考えているからです。それがなければ、根無し草になってしまいます。個人的な考えですが、国際交流の原点は、まず自分の国を知ることだと思っています。自分の国を知り、興味を持ち、好きになることです。イギリスでは、自国の文化を愛する人に敬意を持って接してくれます。お互いの文化の違いを知った上で付き合いが始まるのです。そのとき、相手の文化を理解しようなどとおこがましいことを思ってはいけません。ただ違いを知ればいいのです。自分の国を愛しつつ、他の国の人にも敬意を持って接することです。それだけで通じ合うことができると思います。4 Kyushu University Campus Magazine_2012.9ロンドン最大の王立公園であるリッチモンド・パーク

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