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Kyushu University Campus Magazine_2012.9 5変に学生のニーズに応えていこうというカルチャーは感じますね。ー大学のレベルアップのために、イギリスはどのように取り組んでいるのでしょうか。山田 「競争と連携」が重要なキーワードになっています。イギリスの大学は、常にアメリカの大学を意識していますから、国内で生み出したベストプラクティスは共有して、大学全体のレベルアップを図ろうとしています。もちろん、国内の大学間でも熾烈な競争がありますよ。しかし、何らかのメリットが認められれば、躊躇することなく大学同士で連携します。競争と連携を上手に利用している感じですね。大学全体のレベルアップが国力の充実につながる。そうした国の方針のもとに動いているようにも感じます。ー今年に入って、東京大学が秋入学の方針を打ち出しました。大きな反響を呼び、大学のあり方そのものを問う議論にも発展しています。これについてはどのようにお考えですか。で43万円程度の授業料が最高120万円程度にまで上がりました。ただ日本と違うのは、その授業料を親ではなく学生自身で払うところです。政府系のスチューデント・ローンカンパニーが肩代わりしておいて、卒業後、本人が30年に渡って支払います。つまり、イギリスの学生は、大きな借金を抱えて卒業するわけです。でもそれは、何かを成すときの原動力になり得ますし、彼らの強い自立心の根源は、ここにあるのかもしれません。 また、イギリスは、地方自治の力が強いので、地区によって大学制度も異なります。元々、イギリスの大学は授業料無料でした。ですから、スコットランド地区では、未だに授業料無料。学士は4年で卒業します。しかし、イングランド地区では授業料が必要で、通常、学士は3年です。最近は、学士3年を2年に凝縮しようという意見も出ています。1年早く卒業できれば、それだけ社会に早く出ることができるし、授業料の節約にもなるという論理からです。しかし今のところ、しっかりした人格形成を養うためには3〜4年は必要で、2年では短すぎるという意見が大半を占めています。ただ、臨機応ーイギリスの学生は、日本のことをどのように見ているのでしょうか。山田 日本の総務省、外務省、文部科学省が共同で実施している「JETプログラム」というプロジェクトがあるのですが、そのなかで私は、イギリスの大学を卒業した若者を日本に派遣し、英語教師のアシスタントとして活動してもらうプログラムに携わっています。15年ほど、イギリスの若者を面接していますが、昔は、日本の古典文学や伝統芸能に触れ、日本を知る学生が多かったように思います。でも最近は、圧倒的にアニメです。日本のアニメは、海外の若者にも大きな影響を与えているようです。中国への関心も高まってきていますが、未だ、日本への関心は高いように思います。ー日本では国の財政事情もあって、大学運営が厳しくなっていますが、イギリスの大学はいかがでしょうか。山田 イギリスも緊縮財政でかなり厳しい状況です。今年から、日本円若いうちから、海外へ目を向けさせることが大事。イギリスの大学は、「競争」と「連携」が重要なキーワード。

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