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 東アジア北部に位置するモンゴルは、レアアースなど、豊富な鉱物資源を埋蔵しています。しかし、開発が進んでおらず、その多くが手つかずのまま残されているといいます。今回ご紹介する宮本真さんは、モンゴル北部にあるイェローゴル断層帯と金鉱床の関係を研究。今年9月に開催された「第3回アジア・アフリカ鉱物資源会議」の学生部門において、最優秀発表賞を受賞しました。その新奇性のある研究は世界的にも高い評価を受けています。 学部時代に授業で観たビデオがきっかけでモンゴルに興味を持ったという宮本さん。その後、渡邊研究室に入り、モンゴル北部のイェローゴル断層帯上に鉱床があることを知ります。 「断層は地下の熱水の通り道になります。地下深部の高温・高圧下で金を溶かした鉱液は、断層に沿って上がってきて断層近くを循環するのです。そして、温度・圧力などが変化することにより金が沈殿します。私は、イェローゴル断層帯上の金鉱床がどのような温度や圧力でできたのか、その時の環境を明らかにしたいと思い研究を始めました」 宮本さんは学部4年生の時、初めてモンゴルを訪れフィールドワークを実施。持ち帰った岩石試料を調査するなかで、石英脈中に含まれる「流体包有物」にCO2を含んでいることを発見します。 「鉱液から岩石に結晶化する際、内部に気体や液体状の流体が取り込まれます。これを流体包有物というのですが、流体包有物を調べることで金が鉱化した際の環境が明らかになります。この流体包有物がCO2を含んでいるということは、鉱化する際、周囲にCO2があった証拠であり、これは、イェローゴル断層帯上の鉱床が『造山型鉱床』であることを示唆しています。また私は、CO2がとりこまれた温度を計算で導きだすことで、金鉱床の鉱化深度を明らかにしました。これが国際会議での高い評※1※2※3※4宮本 真工学府 地球資源システム工学専攻 修士課程2年Makoto Miyamoto九州大学で学び、目指す分野を究めようとする次世代のプロフェッショナルを紹介します。今回は、モンゴル北部イェローゴル断層帯と金鉱床の関係の研究で、今年9月、モンゴルで開かれた「アジア・アフリカ鉱物資源会議」で最優秀発表賞を受賞された工学府の若き研究者にお話を伺います。さんいつの日か新鉱床を発見し、資源開発に貢献したい。モンゴルの金鉱床の研究で、国際会議の最優秀賞を受賞。モンゴル北部の断層帯上の鉱床を研究。石英脈中に含まれる「流体包有物」に着目。顕微鏡で見た流体包有物。石のなかに気泡のように見える流体包有物(L1)。その中に液相のCO2(L2)、さらにその中に気相のCO2(V)が見える。Kyushu University Campus Magazine_2013.11  1122

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