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 インド半島の南東、ポーク海峡を隔てた場所に位置するスリランカ民主社会主義共和国は、日本のドラマ「おしん」が人気で、日本語を学習する学生も多いといいます。今回紹介するS.M.ディヌーシャ ティランガニー ランブクピティヤさんは、日本に里親がいたことから、中学生の頃から日本語を学び始め、大学では教鞭も執っていました。教育者として、さらに日本語をスキルアップしたいと思い来日。留学生でありながら、日本語教育の先駆的な研究を行っています。 ディヌーシャさんは、日本人とスリランカ人の感謝表現を比較・研究しています。この研究を始めたのは、自身の経験がきっかけでした。 「日本に来て一番驚いたのは、日本人が親子や夫婦といった親しい間柄でも感謝の言葉を口にすることです。スリランカ人には、感謝を言葉にする習慣があまりありません。私はこの習慣の違いのために、日本の里親に怒られたことがありました。それは私にとってとても悲しいことで、なぜこのような理解の相違が生まれたのか解明したいと思ったのです」 ディヌーシャさんが着目したのは、感謝表現の場面でした。まずは、どんなシチュエーションで感謝の言葉を口にしているのかを明らかにすることが必要だと思ったのです。そこで、日本人とスリランカ人を対象にロールプレイを実施。その後、話者が感謝の場面をどのように理解し感謝表現を行ったのか、再度、その時の会話を聴いてもらいながらインタビューを行いました。会話を振り返ってもらうことで、話者本人でさえ気付かなかった心の内を探ることが目的でした。 「調査の結果、スリランカ人は親しい相手に感謝の言葉を言われると、相手に距離を置かれたような気がして不快な気持ちになること。日本人は頻繁に感謝の言葉を口にしますが、スリランカ人にとって感謝の言葉を口にする行為はもっと重みがあるこ※1S.M.ディヌーシャ ティランガニー ランブクピティヤ比較社会文化学府 日本社会文化専攻博士後期課程2年九州大学で学び、目指す分野を究めようとする次世代のプロフェッショナルを紹介します。今回は、比較社会文化学府博士後期課程で、主に日本人とスリランカ人の感謝を表す場面の表現を研究されているスリランカ出身の女性研究者にお話を伺います。さんの日本語教育をたい。日本語のスキルアップを目的に日本へ留学。 日本人とスリランカ人の「感謝表現」の違いを研究。スリランカ人の感謝表現に、「功徳」があることを発見。 スリランカの大学で日本語を学ぶ学生たちと前列左端がディヌーシャさんKyushu University Campus Magazine_2014.1  1123

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