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数理学府

数理学府

数理学府 Graduate School of Mathematics

 九州大学における数学の教育研究の歴史は70年を数えます.その間、数学教室では、高等学校・大学教員をはじめ社会の多様な領域に多くの人材を輩出し、かつ幅広い数学分野で優れた研究実績をあげるなど、広く社会に貢献してまいりました.そうした伝統と実績のもと、1994年には大学院重点化のさきがけとして、数学の大学院である数理学研究科が誕生しました.2000年には本学の組織改革にともない、数理学研究科は教員が所属する研究組織である数理学研究院と教育組織である数理学府に分離・再編されました.さらに2011年に数理学研究院からマス・フォア・インダストリ研究所が分離・新設され、現在の姿となりました.数理学府には、数理学研究院、マス・フォア・インダストリ研究所教員が所属し、教育、研究指導にあたっています.数理学府所属教員は大学院教育のみならず理学部数学科、低年次全学教育科目、工学部専攻教育科目等にかかわる教育に従事し、本学における数学のあらゆる活動を全面的に担っています. さらに、平成15年度から19年度にかけて21世紀COEプログラムが、平成20年度よりグローバルCOEプログラムが採択され、わが国における大学院数学教育研究の中核機関としての活動を積極的に推進しています.

教育理念

教育理念・目標、養成する人材像
 世界の数学界の学術動向と社会的要請を踏まえ、純粋系と応用系が調和した数学教育研究体制を維持し一層充実させることにより、幅広い数学的知識と柔軟な応用力を背景に社会に貢献できる高度職業人の育成、さらには数学、数理科学の学術的発展や応用推進に寄与できる研究者の育成を目的としています.

教育プログラム

教育課程の特色・内容
 本学府では、現代数学の基礎知識を身につけるとともに、数学、数理科学研究の最前線の成果にふれ、専門分野の研究を行います.現代社会を支える計算機の発達は数学を基礎としたものです.数学の基礎理論のみならず、計算機を背景とする数学の科学技術への応用研究ができるのも本学府の大きな特色です.このような、純粋理論から応用まで、バランスのとれた数学の研究・教育体制が充実しているのはわが国では本学府をおいてはありません.

教育体制
数理学府における教育は、数理学研究院、マス・フォア・インダストリ研究所に所属する約70名の教員が担当する個別指導セミナーを中心に行われます.また複数教員が参加する研究分野別のセミナーを通し、学習・研究に関する助言を行います.さらに、意欲的な学生にたいしては、研究集会等への参加支援を行い、幅広い知識と当該分野の研究動向を学べる機会を与えます.

求める学生像

修士課程: 学部での数学の基礎学力が十分にそなわり、さらに高度で広範な数学の知識獲得や自らの研究の推進に意欲をもつ学生を求めます.数理学コースでは、高度に発展した現代数学の理論の探求に興味をいだき、さらに新たな知見を加えんとする意欲のある学生を歓迎します.MMAコースでは、数学を背景とする幅広い基礎研究に興味をいだき、将来企業等における研究開発・企画運営や、中等教育に携わりたいと希望する学生を歓迎します.

博士後期課程: 数学および広い意味での数理科学の研究者志望の学生を求めます.

入学者選抜方式

【修士課程】
 数理学コース: 本コースの入試は、基礎科目と専門科目に対する学力考査と口頭試問により行われます. なお、社会人特別選抜(口頭試問、志望理由書、および学部時の成績証明書による)も行われています.
 MMAコース:本コース志望者に対する入試は、基礎科目に関する学力考査と口頭試問からなります.
なお、両コースの併願はできません.
【博士後期課程】
 修士論文(MMAコース修了者にあっては講究報告の集成も可)とその発表にもとづく口頭試問により入進学審査が行われます.

大学院では専門を深く研究していくことになりますが、専門分野によっては他の学問分野の知識や方法が生かされることが多くあります.数学以外の専門を学ばれた人のチャレンジも大いに歓迎します.

教育課程

教育課程
【修士課程】
 数理学コース: 高度に発展した現代数学の理論を探求し、それに新たな知見を加えるための研究能力の基盤を養成することを目的とします.講義、演習を通し数理学の基礎的素養を幅広く身につけさせ、伝統的な知識と先端的な成果を修得することを目的に修士論文の作成を指導します.
 MMAコース: 数学が背景にある基礎研究の意義を理解し、研究開発の企画運営を大局観と長期的視野をもってあたることができる人材の育成を目的とします.数理学の幅広い素養を身につけるため、半期ずつ4種類のMMA講究を受講します.MMA講究では、特定の分野に偏ることなく、異なった分野の内容を、それを専門とする教員のもとで学び、その指導下で定期的な講究報告を作成します.なお、本コースでは従来の意味の指導教員の代わりにスーパーバイザーを置き学修の指針を助言します.

【博士後期課程】
 数理学コース: セミナー、研究集会を通じ専門領域における伝統的・先端的知識を修得させ、研究テーマの発見、論文執筆、講演発表などの自立した研究者としての能力涵養に力点をおいた指導を行います.博士論文として、独創性の高い単著論文の執筆を求めます.
 機能数理学コース: 科学技術への応用を見据え、専門分野を超えた数学的素養を身につけさせるほか、長期インターンシップを通じ企業の開発研究現場での数理学を体験・学習させます.2年次に学位論文につながる機能数理学基礎論報を作成します.教員等との共同研究に参画させ、そこで得られた成果を、当該分野における位置づけを明確にしつつ本人独自の視点から再構築させ、それらの集成を博士論文とすることもできます.

修了認定、学位授与に関する方針

【修士課程】
 数理学コース: 伝統的かつ先端的な数理学の基礎的素養を基盤とした専門分野の研究に対し修士(数理学)の学位が与えられます.必修10単位(数理学基礎講究I、数理学基礎論究)を含む30単位以上を修得し、本学府教授会の行う修士論文の審査及び最終試験(口頭発表)に合格することが修了要件です.
 MMAコース: 数理学の幅広い基礎的素養に加え、社会が必要とする高い数学的能力と数学応用力の修得に対し修士(技術数理学)の学位が与えられます.必修16単位(MMA講究A~D、MMA特別実習【短期インターンシップ】、MMA実務講義【特別実習のための準備講義】、MMA数学特論IまたはII)を含む30単位以上を修得し、MMA講究で課される講究報告についての審査および最終試験に合格することが修了要件です.

【博士後期課程】
 数理学コース[基礎的研究をになう人材の育成]: 代数学、幾何学、解析学及びその学際的分野にある純粋数学志向の強い分野において、新たな真理の探究と発見を行う研究者を育成します. 必修10単位(数理学講究I、数理学論究)を含む40単位以上(前期課程での修得分を含む)を修得し、本学府教授会の行う博士論文の審査及び最終試験に合格することが修了要件です.修了者には博士(数理学)の学位が授与されます.

 機能数理学コース[先端的、応用的研究を推進する人材の育成]: 統計学、計算機援用数学、離散対象を扱う数学をはじめとして、国際社会が要請する数学の応用研究をになう人材の養成が目的です.他分野との連携を図り、社会における数理的問題の発掘・定式化・解決に寄与し、さらには新しい数学的問題の探究を目指す研究者を育成します. 必修16単位(機能数理学講究I、機能数理学特別講義I【特別実習のための準備講義】、機能数理学論究、機能数理学特別実習【長期インターンシップ】、機能数理学基礎論報)を含む46単位以上(前期課程での修得分を含む)を修得し、本学府教授会の行う博士論文の審査及び最終試験に合格することが修了要件です.なお、機能数理学特別実習については、受け入れ先企業の受け入れ責任者の報告にもとづき、単位認定を行います. 修了者には博士(機能数理学)が授与されます.