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糸島市と九州大学が『糸島地域における観光人流の見える化』研究を始めます

 
デジタル観光統計による糸島市観光客の動向調査

公開日:2021.12.24

 

お知らせ

糸島市との共同研究にいたった背景

  • 糸島市は平成22年1月の合併後から徐々に知名度が向上し、多くの観光客を迎えています。しかし、その観光客の動向についての調査は、多額の費用が発生するため、実施できていない課題がありました。
  • 九州大学大学院システム情報科学研究院の荒川豊教授は、AI で街の政策を考えていくという構想を過去に糸島市等に提案し、国にプロジェクト申請した経緯があります。このプロジェクトは残念ながら不採択となりましたが、その後も荒川教授と糸島市は月に1度協議を重ねていました。
  • その後、荒川教授が代表として、九州工業大学 および(株)ブログウォッチャーと 2020 年度から国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)委託研究「大規模位置データ連携による観光施策立案評価システムの研究開発」を実施することとなりました。このプロジェクトを糸島市に紹介したところ、今回の糸島市と九州大学での共同研究にいたったものです。

研究で使用する分析技術について

  • 冒頭の糸島市のような課題を解決するため、大規模位置情報データを活用した人流分析技術を用いた、観光動態分析研究(糸島市協定大学等課題解決型研究事業)を実施します。
  • 人流分析技術は、先のNICT 委託研究で開発されたもので、モバイル広告から得られる位置情報ビッグデータを基盤とし、SNS やレンタカー情報等の異なるビッグデータとのデータ連携を行った上で、自治体が実施するさまざまな施策やイベントの効果測定を簡単に行えるようにするEBPM(Evidence Based Policy Making)支援システムとなっています。
  • また、この技術の一部を活用して公益財団法人九州経済調査協会より開発された観光動態モニタリングサービス『おでかけウォッチャー』も活用します。これにより、各観光地への来訪者数や周遊情報だけでなく、来訪者がどこから来たのかなどの情報を過去に遡って、日別に見ることができます。このため、通常の調査では不可能であった、天候や曜日、イベント開催の有無などの多様な要件を加味した観光客の動向分析を行うことができます。

糸島市との共同研究の内容

  • 『おでかけウォッチャー』を活用し、スマートフォンのアプリからアクティブユーザ約2500 万人の人流(位置情報)データを取得、分析します。
  • 糸島市内外の観光地約100 か所を観測ポイントとして抽出し、各ポイントの人流に関してデータを収集します。分析項目予定:来訪地分析、発地分析、属性分析、前後別周遊分析など。
  • NICT 委託研究の一部として、九州大学で開発したイベント検出アルゴリズムを適用したり、観光に関するSNS 情報や検索キーワード情報の分析を行い、隠れた地域の魅力を検出します。
  • 分析の結果を踏まえて、糸島観光の地域特性および観光客の行動特性を明らかにするとともに、その結果の観光施策への反映手法を導き出します。

今後の展開について

  • 糸島市に限らず多くの自治体では、データ入手の制約やデータ活用人材不足などにより、データに基づいた観光政策の立案や観光マーケティングの実現が困難な状況です。
  • この課題を解決する地方自治体向け観光動態モニタリングサービスの活用第1 号として、事業者とも協力しながら、糸島市と九州大学で実用ベースとしての運用研究に取り組みます。
  • この研究事業を通じ、糸島市内・近隣市の観光地との周遊状況や人々の属性など糸島観光の地域特性を把握し、今後のPRや移動手段の確保、ツアープランの提案等、糸島の観光の街づくりに活用していく予定です。
システム情報科学研究院・ヒューマノフィリックシステム研究室
荒川 豊 教授からひとこと
ヒューマノフィリックシステム研究室では、実世界からのセンシング技術とクラウドでのデータ処理技術、その間を結ぶネットワーク技術という情報領域の多様な技術を組み合わせ、人に寄り添うサイバーフィジカルシステム(CPS: Cyber-Physical Systems)に関する研究を行なっています。
特に、センサ(IoT)と機械学習(AI)を用いた人の行動認識に関する研究を核としており、その実現のために新しいセンサの開発からアプリケーションの実装まで幅広く実施しています。さらに行動認識の先にある研究として、情報技術による行動変容の励起と、行動変容を踏まえた社会ステムに関する研究に力を入れています。例えば、コロナ禍において、九大生や職員が混雑を回避して通学・通勤・食事を行うことを支援するため、キャンパス混雑度可視化システムitoconというサービスを開発しています。
 2021年10月には、ICT行動変容研究ユニットを立ち上げ、都市工学、心理学、経済学など、人の行動変容に関わる様々な領域の研究者たちによるトランスディスシプリナリー(学際共創)研究を推進しており、今回の観光動態分析をきっかけに、糸島半島における観光客の行動変容を目指していきます。

観光動態モニタリングサービス「おでかけウォチャー」(HPより引用)

㈱ブログウォッチャーが保有する位置情報ビッグデータ(複数のスマホアプリから取得した月間2,500万人分の位置情報のビックデータ)を活用して、登録された観光地の人出や人流などを把握できるクラウドベースの観光動態モニタリングサービスです。市区町村および観光スポット来訪者の行動特徴を準リアルタイムで提供します。