Research 研究・産学官民連携

九州大学イノベーションデザイン・ネクスト(KID NEXT)

芸術工学研究院 研究紹介

九州大学イノベーションデザイン・ネクスト(KID NEXT)

大学院芸術工学研究院 研究院長特別補佐 教授 平井康之

  九州大学イノベーションデザイン・ネクスト(KID NEXT)とは、九州大学の強みであるデザイン学分野における教育・研究の特長を生かして、科学技術イノベーション人材の育成とイノベーション創出という国の政策課題や九大のアクションプラン2015の実現を目指すために、芸術工学部局が進めている「世界的デザイン教育研究拠点化」構想です。


 世界トップレベルのデザイン教育機関との連携をもとに、日本で初めてのデザイン教育研究の世界的な中核拠点の形成を目指します。

 そのため国際、地域、学内という3つのレイヤーで、大学と社会を結ぶ領域横断型な教育・研究活動に取り組みます。3つのレイヤーを有機的に連携することで相互交流の成果を高めていきます。

 例えば国際的連携の場合、情報発信や海外からの研究者の招聘だけが目的ではありません。共同教育プログラムの開発、デザイン教育の質的保証をめざすために、派遣と招聘の持続的なスパイラルを実現します。海外から招聘した学生や教員が地域のPBLなどに参加するなど、地域の行政や企業・市民活動と結びつけていきます。デザイン思考のアプローチをエンジンとし、部局内、部局外を結ぶ領域横断的な教育・研究活動を推進していきます。


 3つのレイヤーと拠点構想の具体的な事例については、第8弾「デザイン思考が○○を変える」をご参照ください。

  

組織構成について
 「世界的デザイン教育研究拠点」は5部門からなり、芸術工学部内部組織(2つのセンター、1つのラボ、2つの工房)と一体となって、学術研究・産学官連携本部やリサーチアドミニストレーターなどの協力を得ながら、学内他部局はじめ地域自治体、国内外の企業との連携や共同プロジェクトを推進します。

 平成28年度は、そのプロセスを拠点だけではなくセンターの再編につなげることで、資源の再配分を行っています。これまでは、各センターは、それぞれに設立され、組織的な横のつながりは各センターに任されていました。今回の世界的デザイン研究教育拠点は、それらのセンターを統括する拠点として位置づけています。拠点、センター、プロジェクトとして関係性を組織化し、将来構想の中で進めていきます。

  

連携事例について
 その中で国際的連携の具体的な取り組み例として、英国王立芸術大学(RCA)とのリミックスプロジェクトを紹介します。
 英国王立芸術大学(RCA)はQSのアート&デザイン分野のランキングで世界第1位の大学です。このプロジェクトは、包括的(インクルーシブ)な社会のデザインをテーマとし、双方の機関のデザイン教育手法を比較することでデザインイノベーション教育につながる新たな知見を得ることを目的としています。方法としては、双方の教員が手法を共有するワークショップをRCAと大橋キャンパスで開催し、結果を比較しました。昨年10月には7名の教職員が渡英し、 RCAの修士課程以上の多国籍、多分野の学生との第1回ワークショップを開催し、RCAの教育手法に基づいたアプローチを行いました。そして2月には、RCAより2名の教員を九州大学に招き、第2回ワークショップを開催しました。多様な市民や九州大学の学生とともに芸術工学研究院のインクルーシブデザイン手法に基づいたワークショップを行いました。

10月のRCAでのWS

2月の九州大学でのWS

リミックス・ロンドンワークショップにて制作された作品「アイスブレーカー」。面接や面談など、堅くなりがちなシチュエーションをゲーム形式にすることで互いについて より深く知り合えるコミュニケーションツール。

【連絡先】
九州大学 大学院 芸術工学研究院
研究院長特別補佐
デザインストラテジー部門 教授 平井 康之
hirai(★)design.kyushu-u.ac.jp
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