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創造性が自然と人と社会をつなぎ、目にみえない繋がりを形(存在)にする

芸術工学研究院 研究紹介

創造性が自然と人と社会をつなぎ、目にみえない繋がりを形(存在)にする

芸術工学研究院 コンテンツ・クリエーティブデザイン部門
准教授 知足 美加子
(国画会彫刻部会員、山岳修験道学会評議員)

 私の専門は木や鉄といった実材を使った彫刻制作研究です。また芸術学に関する論考も行います。人間の創造性と社会の関係に興味があり、様々なアート・プロジェクトや文化財復原の研究を行っています。
 創造は無から生まれるのではなく、様々な要素の組み合わせから生み出されます。彫刻芸術は自然(社会)を観察・体感し、目にみえない繋がりやイメージを形(存在)にするものです。想像力の喚起によって、人の意識や感情に影響を与えることができます。このような美的コミュニケーションの力を借りて、中越地震(山古志村)、東日本大震災(浪江町)(図1)、熊本地震等の災害復興に寄与するアート活動を行っています。九州北部豪雨災害では、災害流木再生プロジェクトとして流木の彫刻やしおり等を制作し、被災地に寄贈しました(図2)
 また、英彦山修験道美術を中心に、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)時の文化財破壊とそれを回避するために加えられた造形的改変等の研究を行っています。《宝篋印塔(ほうきょういんとう)》(1817年、図3)《彦山三所権現御正体(ひこさんさんしょごんげんみしょうたい)》(鎌倉期、図4)等を対象に、デジタル技術と伝統的彫刻技術を組み合わせ文化財復原に取り組んでいます。

(図1)知足美加子《望郷の牛》2012年 福島県浪江町「希望の牧場」に設置
Mikako Tomotari, The Cow with Nostalgia, 2012

(図2)知足美加子《朝倉龍、流木再生プロジェクト》2017年
Mikako Tomotari, Asakura Dragon, Project Driftwood Reproduction, 2017

(図3)「英彦山宝篋印塔3Dデータ、改刻前想定図、復原立体」2017年
Hōkyōintō Restoration Process, 2017

(図4)「彦山三所権現御正体復原過程」2016年
Hikosan Sanshogongen Mishōtai Restoration Process, 2016

■関連サイト
知足美加子ホームページ
http://www.design.kyushu-u.ac.jp/~tomotari/

災害復興支援活動報告「福岡エルフの木」
http://elfinfukuoka.blog.jp/

■お問い合わせ先
芸術工学研究院 コンテンツ・クリエーティブデザイン部門 准教授 知足美加子