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芸術工学研究院 研究紹介

地震被害写真から建物が経験した地震応答を推定する

芸術工学研究院 環境設計部門
准教授 吉岡智和

 私たちの研究室では、大地震により被災した建物の継続使用性を向上させる技術の研究開発を行っています。それらの研究成果を用い、災害に対する都市、地域のレジリエンスの向上を目指しています。ここでは、最近の研究成果として、畳み込みニューラルネットワークを用いた画像分類 [1] を、地震防災に応用した事例を一つ紹介します。

被災した共同住宅の地震応答の推定

 共同住宅の典型的な地震被害として、架構と適切に縁切りされていない鉄筋コンクリート造非構造壁のせん断破壊が多発しています。このような地震被害が生じても、建物を支持する架構の被害は小破以下 [2] であり、復旧工事を施し建物の継続使用が可能となる場合が多くあります(図1)。ただし、建物の継続使用の可否の判断には、熟練した技術者による現地調査と被災度区分判定が必要です。

図1 共同住宅の地震被害の特徴 [2]

 そこで、震災時に不足する専門家による現地調査に代わるものとして、非専門家が撮影したRC非構造壁の地震被害写真から、セマンティックセグメンテーションを用い損傷を検出、画像測定を行い、経験した最大部材角の推定 [3] を試みています(図2)。さらに、その最大部材角に基づき架構が経験した地震応答を推定し、その被災度(軽微、小破、中破、大破、倒壊)を自動判定する手法を開発しています。

図2 画像測定したコンクリート剥落面積に基づくRC非構造壁の部材角推定 [3]

参考文献
(1) 吉岡智和,深層学習による被害写真を用いたRC方立壁の損傷度識別器の生成,日本建築学会技術報告集,26巻,64号,p.1252-1257,2020.10,https://doi.org/10.3130/aijt.26.1252
(2) 吉岡智和、10章鉄骨鉄筋コンクリート構造の被害 10.3個別事例 10.3.2詳細調査事例、2016年熊本地震災害調査報告、日本建築学会、p.237-242、2018.10
(3) 吉岡智和,竹田昂輔,画像測定したコンクリート剥落面積に基づくRC方立壁の部材角推定、日本建築学会技術報告集,28巻,70号,p.1224-1229,2022.10(印刷中)

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准教授 吉岡智和