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工学研究院辻健教授がIUGG若手研究者賞を受賞!

2018.11.09
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 本学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I²CNER)CO2貯留研究部門 / 工学研究院地球資源システム工学部門の辻健教授が,国際測地学地球物理学連合(IUGG: International Union of Geodesy and Geophysics)の若手研究者賞(Early Career Scientist Award)を受賞しました。

 IUGGは,国際学術会議加盟の非営利な国際的学術団体であり,その規模は地球物理学研究分野において世界最大級です。「IUGG若手研究者賞」は,IUGGが顕著な地球惑星科学研究および国際研究協力を推進している優れた若手研究者を表彰する主旨に基づいて創設され,4年に1度世界中から10名以下を選定して贈呈されます。今回の受賞者に,日本人では唯一,辻教授が選ばれ,本学からは前回4年前の高橋太准教授の受賞に連続する快挙となりました。2回連続で受賞者が出たのは本学だけであり,世界的に本学の地球科学分野が高く評価されていることを示しています。

 辻教授は,地震断層やメタンハイドレート,海底熱水鉱床,地熱貯留層を明らかにする物理探査技術の開発を行っています。新しく開発した解析手法を利用することで,これまで知られていなかった南海トラフや日本海溝の断層形態を明らかにし,震源分布や津波メカニズムに関係する新たな断層や特徴を明らかにしました。最近は,地下の動きを捉えることに力を入れており,地震や火山活動に伴う地殻内部の動きをモニタリングすることに成功しています(図1)。地球内部または表層で生じる変動を様々な測定センサで捉え,そのビックデータを上手く融合することで,防災や安全な資源エネルギー開発に貢献することを目指しています。また,数値シミュレーションを用いてデジタル化した岩石から物性値を推定する学問領域「デジタル岩石物理」の構築や,月面での資源開発に向けた探査手法の開発といった幅広い分野の研究も進めています。今回の受賞は,こうした分野横断的な研究業績が高く評価されたものです。

 受賞式は2019年7月にカナダ・モントリオールで行われる第27回IUGG General Assembly(総会)にて行われ,辻教授は受賞者として招待講演を行う予定です。 

IUGG Web サイト
http://www.iugg.org/

図1.日本全域の地殻内部モニタリングプロジェクト。地下深部(深度約3km)を、波が伝わる速度(弾性波速度)の変化を使って、地殻活動をモニタリングした結果。赤い場所が弾性波速度の低下した場所で、熊本地震などによって、ダメージを受けた地殻に対応する。