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令和元年度 九州大学春季学位記授与式告辞(2020年3月23日)

本日、九州大学を卒業される学部生・大学院生の皆さん、誠におめでとうございます。
九州大学教職員を代表して皆さんの卒業・修了を心よりお祝いいたします。
また、今日まで長きにわたって皆さんの勉学を支え、励まし、指導してこられたご家族や関係者の皆様にお慶び申し上げます。

今年は、学部学生2,545名、修士1,830名、専門職大学院115名、博士344名の合計4,834名の方々に学位記が授与されます。

本来であれば、卒業生、修了生、また保護者の皆様が一堂に会しての式典を挙行すべきところですが、今年に入り新型コロナウイルス感染症が拡大してきております。大変残念ですが、総代学生の方々のみが代表として出席していただくかたちで実施することとなりました。この学位記授与式の様子は大学のウェブサイトで配信しますので、多くの卒業生やご家族の皆様にはそちらをご覧いただければ幸いです。

本日、皆さんは卒業・修了され、これから就職、進学、留学などの新しいステージに進むことになります。喜びとともに将来への夢で胸を躍らせていることと思います。

皆さんは、九州大学での学生生活を伊都キャンパスで始めたことと思います。
それでは、皆さんが入学してから、九大で過ごした学生時代の4〜6年間の主な出来事を振り返ってみたいと思います。

まず国際情勢ですが、6年前の2014年にはアフリカにおいてエボラ出血熱の大流行、ISIL(イスラム過激派組織)の台頭、2015年には欧州への難民殺到、米・キューバの国交回復、2016年には英国 国民投票でEU離脱の決定、リオデジャネイロオリンピック開催、2017年にはアメリカトランプ大統領就任、北朝鮮ミサイル発射実験などがありました。
2018年には平昌オリンピック開催、米朝首脳会談、2019年にはイギリスジョンソン首相就任、香港で反政府抗議活動がおこりました。
今年に入り、米国がイラン革命防衛隊司令官を殺害、英国がEUを正式に離脱などがありました。そして、現在重要な出来事である新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、社会経済に大打撃を与えています。
このように、国際情勢は大きく変化してきております。

次に、国内の主な出来事については、
6年前の2014年8月には消費税8%がスタートしました。御嶽山噴火、赤崎、天野、中村氏にノーベル物理学賞、トヨタが世界初の燃料電池車MIRAIを発売しています。
2015年には「八幡製鉄所や三池炭鉱などの明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に登録されました。
大村智先生がノーベル生理学・医学賞、梶田隆章先生がノーベル物理学賞を受賞されておられます。
2016年4月熊本地震マグニチュード7.3が発生し、熊本を中心に九州は大きな被害を受け、173人が死亡しています。大隅良典先生がノーベル生理学・医学賞を受賞されました。

2017年7月には、九州北部豪雨が発生し、福岡県は朝倉市を中心に大きな被害を受け、41名の死者が出ました。
九州大学では、「九州北部豪雨災害調査・復旧・復興支援団」を結成し、地域住民や行政機関と協働しながら、復旧・復興支援を現在でも継続して行っています。
また、宗像の沖ノ島が世界遺産に登録されました。
2018年7月には西日本豪雨が発生し中部地方を中心に大きな被害がおこりました。また9月には台風21号が近畿地方を中心に大きな被害をもたらしました。本庶佑先生がノーベル生理学・医学賞を受賞されています。
昨年2019年5月には、新天皇陛下が即位され元号が「令和」に改元されました。9月には台風15号が首都圏を直撃、10月には台風19号が襲来し千葉県で記録的な大雨となりました。
また、10月から消費税10%がスタートしています。
本年に入り日本でも新型コロナウイルスが流行し、社会経済に大きな影響を及ぼしています。

さて、九州大学での出来事を振り返ってみたいと思います。
4年前の平成28年度における本学の主な出来事では、次のような事がありました。
【4月】熊本地震発生に伴い、九州・山口地区国立大学長「熊本大学支援連絡会」を設置
【6月】ヨット部 世界選手権出場
【7月】NTTドコモ、ディーエヌエー、福岡市と共に、「スマートモビリティ推進コンソーシアム」を設立
【9月】カリフォルニアオフィスSVEP10周年記念式典
【10月】エネルギー研究教育機構設置、新中央図書館プレオープン、ホンダ燃料電池自動車クラリティを導入 
【11月】中野三敏名誉教授 文化勲章受章、森田浩介教授113番元素名「ニホニウム」元素記号「Nh」正式決定
【12月】自動運転バス デモンストレーション
【2月】九州・大学発ベンチャー振興会議発足
などがありました。

平成29年度における主な出来事としましては、
【4月】学園通線全線開通、小体育館開所
【5月】糸島市九州大学国際村構想発表され、本年8月より利用されることになりました。
【6月】起業部が120名の部員で発足しています。
【8月】50年ぶりの新学部である共創学部設置認可
【9月】法科大学院六本松施設開所
【10月】伊都キャンパス南口開通
【11月】伊都キャンパス・イーストゾーン連絡橋開通
【12月】法学研究院・河野俊行教授 国際イコモス会長就任
【1月】農学系総合教育研究棟 竣功
【2月】人文社会科学系総合教育研究棟 竣功
などがありました。

平成30年度における主な出来事として、
【4月】共創学部第1期生入学
【5月】「中本博雄賞」創設
【6月】芸術工学部50周年記念式典
【7月】日本ジョナサン・KS・チョイ文化館が開館し、比較法国際アカデミー国際会議が開催されました。
【8月】九大フィルが初めての東京公演
【9月】世界社会科学フォーラム(WSSF)、伊都キャンパスが完成し、完成記念式典が開催されました。同時に農学研究院開校式典、イーストゾーン完成記念式典も行われました。
【10月】中央図書館グランドオープン
【11月】新海征治特別主幹教授が文化功労者
【1月】エネルギーウィーク2019
【2月】伊都診療所 開所
などがありました。

令和元年度の1年間における主な出来事としては、
【4月】オンデマンド学内バス「aimo」出発式、岐阜県から寄贈された90本の天然桜植樹式、先進電気推進飛行体研究センター開所式
【6月】トルコのアンカラオフィス開所式
【7月】環境省の地域における持続可能な開発のための教育拠点登録式典・看板掲揚式、七大学総合体育大会を主管校として開催、アジア・オセアニア研究教育機構キックオフシンポジウム
【8月】附属汎オミクス計測・計算科学センター開所式、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校と戦略的大学間交流協定締結
【10月】九州大学グリーンテクノロジー研究教育センター訪問教授の吉野彰先生がノーベル化学賞受賞、農学部創立百周年記念式典の開催
【11月】河口洋一郎氏寄贈「宇宙魚 Ficco2007」除幕式、QS-APPLE2019開催
【12月】ペシャワール会中村哲高等研究院特別主幹教授 アフガニスタンにて銃撃され死去、I2CNER10周年記念シンポジウム
今年に入り、
【1月】吉野彰先生に九州大学栄誉教授の称号授与
などがありました。

このように様々な出来事が起こっています。
特に平成から令和に変わった変化の激しい、歴史の転換期に皆さんは、学生生活を送ってきたわけです。
この時代の出来事は今後皆さんの記憶の中に残ることでしょう。

この伊都キャンパスは、平成17年に移転を開始して以来13年かけて、1年半前の平成30年9月にようやく完成しました。世界に誇れるキャンパスです。
念願の伊都キャンパスが完成し、同年9月29日には「伊都キャンパス完成記念式典」を挙行しました。今後、伊都キャンパスを拠点として新たな時代を歩み始めるに際して、将来への決意を込めた「伊都キャンパス宣言」を公表しました。
1. 世界をリードする人材と新しい科学を生み出すキャンパス
2. 未来社会を切り拓く研究成果の実証実験の場としてのキャンパス
3. 歴史や自然など豊かな環境と共生するキャンパス、です。
九州大学は、この未来型キャンパスを核として、教育、研究、社会貢献、国際交流など多様な活動を大きく推進し、新しい歴史を築いて参ります。

病院地区、大橋地区、筑紫地区及び箱崎地区キャンパスで過ごされた方々は、それぞれのキャンパスにも懐かしい思い出を持っておられることと思います。

ところで、皆さんは大学で何を学びましたか。学位を授与されたことは専門的知識や技能を身につけた証明であります。色々な事象の俯瞰力、分析力、表現力などを習得されたことと思います。
基幹教育の理念であるものの見方・考え方・学び方の基礎も学んだことと思います。
また、学問をすることにより、新しいことを知る喜びを体験したのではないのでしょうか。九州大学には12学部ありますが、学問分野は広く、学びは一生続くものです。
さらに、クラブ活動やアルバイトなど楽しいこと、苦しかったことなどさまざまな社会的な体験をしたことと思います。これらの経験は皆さんの将来に必ず役立ちます。

私が大切にしている言葉を贈ります。
”主観を磨き、客観的判断力を養う“です。
情報化やAIがさらに進む時代になりますが、自分を見つめて生き方を問い、自分のしっかりとした考え方、すなわち主観を磨くとともに、学び続けて客観視できる座標軸を持つことが大切と思います。

初代総長、山川健次郎先生が学生への訓示で、「修養が広くなければ完全な士と云う可からず」、と述べておられます。すなわち、学生が日本の将来の各分野におけるリーダーシップを執るという責任を果たすには、専門の学問を究めるだけでなく、幅広い知見を持つべきである、ということです。109年前のことですが、現在にも通じるものです。

昨年12月、本学高等研究院特別主幹教授の中村哲先生がアフガニスタンで凶弾を受け亡くなられました。このような形で命を落とされることは痛恨の極みであり、本当に残念でなりません。
中村哲先生は昭和48(1973)年3月に本学医学部医学科を卒業された、皆さんの偉大な先輩です。
ペシャワール会現地代表となられて以来、パキスタンやアフガニスタンにて医療活動に従事する傍ら、農村復興のための水利事業を続けてこられ、アフガニスタンに全長25キロにもわたる用水路を整備されました。
中村先生のご子息に、「行動で示す」ことの大切さを繰り返し説かれていたそうですが、これらの事業は先生の行動力のなせる業だと思います。
先生が言われた言葉に「困っている人がいたら手を差し伸べる。それは普通のことです。」というものがあります。
思いやりの気持ちと実際の行動に移す力を皆さんにもぜひ引き継いでいってもらいたいと思います。

九州大学は、卒業された同窓生の方々との繋がりを大切にしています。
九州大学同窓会連合会には、各学部・学府の同窓会、各地域における地域別同窓会、さらに海外同窓会があります。その他、ゼミやサークル活動などで組織されているグループも多数あります。卒業後も九州大学との繋がりや交流を持ち、相互の親睦を深めていただきたいと思います。
大学からも積極的に情報を発信するなどして、皆さんとの交流を図ってまいります。

最後に、皆さんの門出を祝い、九大混声合唱団による本学学生歌「松原に」をお届けしたいと思います。

今後同窓会などで集まる機会がありましたら、ぜひこの歌を一緒に歌っていただきたいと思います。九州大学は皆さんとともにあります。
また、九州大学の新しいキャッチコピーは「世界へ飛躍する九大新世紀」、「Leap into the Next」です。これを目指したいと思います。
皆さんが九州大学で学び、卒業したことを誇りに思い、さらに大きく発展し、世界で活躍していただくことを祈念して祝辞といたします。

令和2年3月23日
九州大学総長
久保 千春

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