編集後記


 2000年を迎えた。国立大学は大きな変革期にあり,全国的には独立行政法人 化の是非が論議されており,本学では新たに今春から研究院制度がスタートす る。もっと根本的にみれば,21世紀における大学教育の役割と理念が問われて いる。腰を落ち着けた議論が大学内外で展開される必要があるが,その前提と なるのはいうまでもなく十分な情報と議論の場である。本学に関する良質の情 報を内外に提供していくこと,この本誌の役割をあらためて確認したい。
(広報誌編集部会委員I.S.)

 「九大広報」第10号は2000年の新年号ということで,座談会を開いて先輩方 に九大のこれからについて語っていただこうと編集部会で話し合ったのが昨年 12月のはじめ。さてどなたにお願いしようかと担当は悩みましたが,幸いにも 広報委員長の柴田副学長,さらには杉岡総長の全面的な御賛同を得て,何より も参加者の皆さんの献身的な御協力を得て,「ミレニアム座談会−九大の21世 紀を考える−」が実現しました。
 何しろ参加者の皆さんは大学,企業,政府,マスコミのトップ,中枢にいら っしゃる方々で,スケジュール調整の困難が予想されたわけですが,まさかお 揃いで座談会が開催できるとは正直思いませんでした。皆さんの,母校であり かつての勤務先である九州大学を想うお気持ちが感じられた座談会でした。
 また「座談会」のみならず,本号は図らずもOBなど学外の方々の御協力によ っていくつかのページができました。岩本様は以前から御感想などをお寄せく ださっていましたが,今回第三分校開校50周年で久留米に見えたと伺い,原稿 をお願いしました。島松先生は医病の平方広報委員の推薦で,ドビュッシーに 関する著作を御紹介することができました。以前からその由来が謎であった総 長室の孫文墨跡については,その周辺事情にお詳しい石瀧豊美先生に御寄稿を お願いしました。孫文が来学した大正2年(1913)は九州帝国大学創設の2年 後,時の総長は山川健次郎(「九大広報」第6号参照)と聞けば,なんだか茫 洋としてまいります。

(総務課広報担当)