第37回国立七大学総合体育大会
ドラマ『剣道部女子5連覇(!)への道のり・男子もびしっと3連覇です。』
九州大学学友会剣道部
女子主将 大 西 真紀子
あこがれの,優勝旗。…しかし!なんとなんと,剣道女子には優勝旗がないのである。今更ながら,残念無念。優勝旗,欲しかったなあ…。
嗚呼,七大戦。この日のために,いったい どれだけの事をしてきただろう…それは稽古だけのことではない。大会運営のために1年も前から構想を練り,さまざまな手配をし,そうして大会を作った人々がいる。会場設営は主にレギュラーに入れなかった人々がやってくれた。彼・彼女らは,残念ながら試合に出場できないが,苦しい稽古を積んだのは同じで,さらに会場まで作ってくれた。(その点,選手なんて楽なもんです?)「こんなに剣道以外のことで がんばってくれてるんだ,レギュラーはなんとしても勝たんといかんなあ!」…みんなでつくる七大戦,を実感して感動しきり・勇気百倍。この言葉に,大袈裟なところは微塵もない。そうして迎えた,当日であった。
開会式にて,優勝杯を返還する。「ふっ。このカップは また返してもらうぜ」なんてことは 全く思いもよらず,である。むしろ「あー。どうなるんだろう,なんだかコレ,違う学校の人が持って行きそうだよなあ」と,かなりキャプテン失格・自虐的想像(←わたしの得意技)をたくましくしていたり…今だから言いますが。
そう,決して「剣道部,今年もアベック優勝はカタイだろう」なんてことはないのだ。実際,今年もそんな試合が続いたのだった(女子は)。ん,男子?…余裕の勝利,終わってみれば,楽勝優勝…とでも言っておきましょう。なんにせよ『連覇』とはいうものの,毎年チームは変わり,毎年が新たな挑戦なのである!
女子,京都大学との対戦は特にポイントとなる試合だと,以前から見ていた。3人戦の2人目が終わったところで,1勝1敗,本数差で1本負けている。ラスト3人目は なんとしても勝たなければならない。が…京大に滅法弱いわたくしキャプテン・オオニシは昨年に引き続き同じ相手にシブイ一本負け,九大・非常に痛い一撃を食らう。この時点で京大の優勝か?と思わざるを得なくなり…昼ご飯も喉を通らず,気分はブルー。
そしてそのまま午後の試合開始…と,そのとき。京大,まさかの敗戦!取り逃がしてしまった勝負のボールは,なんと再びこちらに転がって来た!勢いづいた九大女子,あとの試合を落すはずがない。何としても勝ってやる,その執念がついに『あと一歩で優勝』というところまで,この可憐な少女(???)達を押しやった。 最終,対北大戦。チーム引き分け以上で,念願の優勝…「なんとか大将戦まで,勝負をまわして」。優勝を意識するな,なんて言わない。優勝したいんだ,勝ちたいんだ,その気持ちから逃げるな,どんっとぶつかろう。そして,言葉どおりに勝負はわたしの試合に懸かってきた。勝てば,優勝。負ければ,…。試合場に立つと一気に視界が狭くなる。騒音は何も聞こえない。…「はじめ!」審判の声。…中盤に差し掛かった頃,ふと名前を呼ぶ声が聞こえる。仲間の指示…そうか,中に攻め込んで打つ…メーン!一本先取。二本目…相手が慌てて出てくるのが分かる,落ち着いて落ち着いて…ふたたび,メン。その瞬間,九大女子の5連覇が確定した。そしてわたしの耳と目は,ようやく歓声と喜びの顔をした仲間達とをとらえたのである。
…なーんて書くと,劇的なオハナシになるのだが,実際は 稽古・特に合宿のクルシミ話の方が断然,ドラマチックなのである。それを乗り越えてきた九大が,男女ともに優勝を手に入れたことは,全く当然の結果でしょう!(言いたい放題。)
わたしは華麗なる女子チームのキャプテンであるため,この文章は大幅にマキコ的視点から書かれている。しかし,男子には男子なりの,わたしには知るよしもないドラマなどあったかもしれない。そして 試合当日だけではなく,もちろん部内レギュラー争いのときから,陰ではたくさんの汗と涙が流されていたに違いないのだ。
七大戦。たった1日の勝負…しかしそこには,青春のエネルギーをつぎ込んだ大きな1年間が存在するのである。
![]()
- 写真の説明
- 開会式で優勝宣言
- 優勝記念(大西主将は2列目中央)