数理学研究科長 鎌田 正良
紹介文
専門はトポロジーである。「数学者は対称性を好む」とはよく言われるが,鎌田教授も対称性を持つ多様体に興味を持たれ,様々なコホモロジーに付随する特性数,特にコボルディズム理論を用いた研究については,日本の第一人者である。昨年からは多様体とホモトピー論に関するシンポジウムを主催され,この分野においては九大を中心とする研究グループの中心的存在である。講義でも,その熱心な指導ぶりと独特の解説で聴講する学生にも人気が高く,またその温厚な人柄を請われて,旧教養部時代には学生部参与として学生らとの折衝にあたられた。「いろんな学生さんが研究室に入ってきて,勝手に面白い話をしていく」のがこの上なく楽しい出来事であるかのように語られる。
4年前に,それまで3部局に分かれていた数学教室が合体して,数学では日本最大級の大学院「数理学研究科」が発足した。鎌田教授は発足直後の六本松分室主任,2年目の教室主任,3年目の教室副主任として,ややもすれば不安定になりがちな新体制を軟着陸に導いたリーダーの一人であり,的確な決断と平衡感覚のある調整で教室の信任も厚い。話好きな鎌田教授は,酒席でも周囲に笑いが絶えない。ただし,そのソフトな外見に似合わぬ大胆な決断にあっと言わされるかもしれない。鎌田教授を研究科長に迎え,数理学研究科の一層の発展に期待が寄せられている。(I)