九州大学産学連携推進機構が発足

 本年5月開催の部局長会議の審議を経て,このたび九州大学産学連携推進機構(以下「推進機構」という。)が発足しました。7月8日には第1回連絡会議を開催し,推進機構の業務を開始しています。
 この耳慣れない,新生の推進機構について紹介します。


◆はじめに

 推進機構は,3年前の平成7年5月に評議会で決定された「続・九州大学の改革の大綱案」で提起された「企業や市民との研究協力・交流の強化」の具体的推進方策の一つとして社会連携推進専門委員会や社会連携推進委員会の幾多の審議を経て発足したものです。

 九州大学は,本来の使命である教育・研究の遂行のほかに,これまで様々な形で社会との連携を推進してきました。教育面では市民を対象に(1)聴講生・科目等履修生の受入れ,(2)公開講座の実施,(3)大学院での社会人教育(リフレッシュ教育),(4)大学図書館や施設の開放を実施しています。研究面では,(1)受託研究員の受入れ,(2)受託研究・民間等との共同研究の実施,(3)奨学寄附金・委任経理金の活用(寄附講座を含む。),(4)施設設備等の寄附受入れ,(5)研究成果の社会への還元を行っています。

 推進機構は研究面での社会貢献を大学全体として一層推進するため発足したものです。名称は「産学連携」ですが,産学連携を支援する関係省庁,地方自治体,特殊(公益)法人等を含めた「産官学連携」を視野に入れたものであることは言うまでもありません。

◆本学における産官学連携の実績

 本学は,産官学連携を積極的に進めるため,学内共同利用施設として先端科学技術共同研究センター及びベンチャー・ビジネス・ラボラトリーを設置しました。また,創立80周年記念事業募金の趣旨に基づき国際研究協力プラザにおいて研究情報の学外への発信を行っています。この共同利用施設の活動とあいまって学部・研究科・研究所等において共同研究等が推進されてきました。この間,本学における産官学連携は着実に進展し,受託研究,民間等との共同研究及び奨学寄附金により受け入れた外部資金は増加傾向を示しています。特に,民間等との共同研究は平成9年度において93件に及び,国立大学のトップクラスにあります。

 また,先端科学技術共同研究センターが提供する本学の研究シーズのデータベースへのアクセスは既に7,000件を超え,技術相談も平成9年度は47件(先端科学技術共同研究センター受付分)に及び毎年増加しており,本学に対する産業界の期待が大きいことを示しています。また,技術相談の件数の増加とともに,懸案であった地元企業との共同研究も増加しています。

◆推進機構の業務

 本学では,すべての専門分野において研究者の自由な発想に基づき基礎から応用にわたる幅広い研究が行われており,研究面での産官学連携活動も必然的に研究室や研究者個人のレベルで進められてきましたが,最近では,学部単位,研究所単位で進める場合もでてきました。推進機構は,先端科学技術共同研究センター,ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー及び各部局間の横の有機的連携により,大学全体としての産官学連携活動の活性化を図ることを目的とし,研究室や研究者個人レベルの産官学連携活動の環境を部局単位で整備するための学内システムとして発足したものです。推進機構の具体的な業務は次のとおりです。

  1.  研究シーズを学外に発信し,産官学交流の場を設ける。10月には地元企業を多数箱崎キャンパスに招き,大学の研究シーズを紹介するとともに技術相談を行うイベント「産業創造On Campus」の開催を予定している。

  2.  先端科学技術共同研究センタ−が推進機構全体の窓口であることを明示し,同センターに相談すれば適切な専門分野の教官につなげるシステムを確立する。このことにより,本学に初めてアクセスする企業等の”大学の敷居が高い”という意識を払拭しようとするものである。
     なお,部局においても直接相談を受けることとし,コーディネーターが対応する。

  3.  関係部局にコーディネーターを置く。コーディネーターは,窓口(先端科学技術共同研究センター等)で受け付けた相談を専門的に分析し,当該部局の教官のうちから相談内容に応じた専門分野の教官を選定の上,相談者と教官を仲介する。

  4.  企業等からの相談は,知識の提供で済む場合もあれば,共同研究に進む場合もある。推進機構は,共同研究が各種の制度に則り,円滑に進むよう支援する。
     また,コーディネーター間で連携し,複数の部局・企業間の先端的・学際的な大型プロジェクトを推進する。

  5.  大学の研究成果を企業を始め社会に還元するには,研究員の受入れ,共同研究,技術研修会・出張講義や兼業による研究指導,特許権等の実施による技術移転等様々な方法が考えられる。研究成果の還元は研究者個人の判断によるものであるが,推進機構は,各種制度についての情報を提供し,研究成果の社会への還元を支援する。
     また,大学人が独創的な研究成果を自ら社会に活かすベンチャー・ビジネスの芽が育ちつつある。本学においても最近第1号が誕生したが,ベンチャー・ビジネス・ラボラトリーにおいて,独創的な研究開発プロジェクトを遂行するとともに,起業家精神に富む創造的人材の養成のため,大学院においてベンチャー・ビジネス・セミナーを開講している。

◆おわりに

 現在,九州大学は大学改革,キャンパスの統合移転,病院再開発というビッグプロジェクトを推進しています。推進機構による産官学連携の推進が九州大学の周りに知の集積を進め,21世紀に向けて九州大学の飛躍につながることが期待されます。
 なお,推進機構についてのお問い合わせは,総務部研究協力課(TEL 092-642-2127,FAX 092-642-4317)へお願いします。

産学連携推進機構システム図(画像データ)