九大OBから辛口エール〜九州大学懇話会〜

「社会が九州大学に期待する人材養成」をテーマに懇談


九州大学懇話会とは

 本学は,現在,大学改革,キャンパス移転計画を進めています。新しいキャンパスでの本学のあり方等について,経済界・産業界等で活躍されている本学のOBから,自由に意見や提案を聞く機会を持ちたいという杉岡総長の提案に基づき,平成9年4月30日に設置されました。
 九州大学懇話会構成員(敬称略)
大野  茂(九州電力会長)昭和26年 経済学部卒
清水  晃(西日本新聞社社長)昭和29年 法学部卒
平山 良明(西部ガス社長)昭和29年 経済学部卒
富澤 義敬(九州国際FM専務)昭和30年 経済学部卒
長野日出生(三洋信販顧問)昭和30年 法学部卒
森山 靖章(福岡中央銀行頭取)昭和30年 経済学部卒
吉田 清治(九州電力顧問)昭和31年 経済学部卒
重渕 雅敏(東陶機器社長)昭和33年 工学部卒
大藪 和子(福岡県社会福祉協議会常務理事)昭和36年 文学部卒
押山  孜(安川電機顧問)昭和37年 工学部卒
杉岡 洋一(九州大学総長)
矢田 俊文(九州大学副学長 経済学部教授)
柴田洋三郎(九州大学副学長 医学部教授)
板橋 一太(九州大学事務局長)


 去る7月9日に開催された第7回九州大学懇話会で,九大OBから辛口のエールが送られました。
 今回「社会が九州大学に期待する人材養成」をテーマに懇談し,本学の学生や教育活動等について,次のような意見や提言がありました。

学生に対する期待

  1. 「最近の新卒者の学力が,年々低下していることを危惧している。今の修士修了者の学力は,昭和40年代の学部卒業者と同レベルぐらいと見受けられる。また,事象に対する知識が個別的・専門的に偏っているのではないか。社会は,その成り立ちや背景に対する知識の広がりと応用力を有する人材を期待している。」
  2. 「総体的に,就職しても挨拶ができない,社会のことが分っていない新卒者が増えているため,企業が育てなければならない現状にある。人間として基本的知識,コモンセンスを身につけてほしい。」
  3. 「九大生の学力は,他の大学に比べて相対的に高いのだが,もっと個性を磨いて,九大のカラーを出してほしい。」
  4. 「九大の卒業生は,おとなしくて,地味で,仕事に対する反応が鋭敏でない面が見受けられる。仕事に対する積極的な取り組みと意欲を発揮してほしい。」
  5. 「就職活動ではマニュアルに頼ることなく,これをやりたいといった意欲や学生生活の思い出を語る等,もっと自分自身をアピールしてほしい。この点,ユニークで個性的な学生が私大に比べて少ないように思われる。」
  6. 「もっと新聞や小説を読み,活字を通じて社会や物事の背景を理解する能力を養ってほしい。」
教育活動等について

  1. 「学生に応用力がないのは,教育方法に問題があったり,授業内容がミクロ化しているのではないか。もっと幅のある授業をしてほしい。」
  2. 「人間としての基本的な社会常識を持った人材の育成に努めてほしい。」
  3. 「基礎的な学力を持ち,課題への対応性のある人材を育成してほしい。」
  4. 「活気にあふれる九州大学のイメージを作るためにも,九大卒の若田光一飛行士のような話題性のある人材を育成してはどうか。」

これまでの経過

 第1回懇話会は,平成9年5月6日に行われ,現在までに合計7回開催されました。
 この間,本学の大学改革や新キャンパス計画などについて,貴重な意見や提案がありました。
 現在までの懇話会のテーマと主な意見や提案を簡単に紹介します。

第1回(平成9年5月6日)
テーマ:九州大学の現状と課題・展望等について
意 見:社会に開かれた大学とするためには,学外に対し効果的な広報体制を整備すべきである。

第2回(平成9年7月7日)
テーマ:産学官連携による研究協力等の促進について
意 見:産学界等からの技術相談や共同研究等の申込みに対する大学の受入窓口及び体制整備並びに民間企業に役立つセミナーの充実を図ってほしい。

第3回(平成9年9月1日)
テーマ:留学生問題について
意 見:留学生の質的充実を図ること。また,日本で習得した知識や研究成果を帰国後自国において十分発揮し,日本の良き理解者として活躍できるように留学生教育のより一層の充実を望む。

第4回(平成9年11月26日)
テーマ:新キャンパスにおける未来学術研究都市構想について
意 見:未来学術研究都市構想を推進するに当たっては,地域社会に開かれた大学づくりはもちろん,アジアに開かれた学術研究都市として,それに相応する環境を整備すること。このためには,福岡県,福岡市,周辺自治体及び財界等とも連携を図るべきである。

第5回(平成10年2月3日)
テーマ:新キャンパスにおける未来学術研究都市構想について
意 見:九州大学は,新キャンパスにおいて何を目指そうとしているのか。そのビジョンは何なのか。新しい学術研究都市構想を進める上で,将来のビジョンに沿った九州大学としてユニークな計画を打ち出すことが重要である。

第6回(平成10年5月7日)
テーマ:新キャンパスの顔づくりについて
意 見:大学の顔として,象徴的な建物(ランドマーク)やメインゲートを建設してほしい。また,新キャンパス設計にあたっては,国際コンペの開催を検討してはいかがか。
まとめ

 これからも懇話会においては,本学のあり方について,それぞれの立場から意見や提案あるいは苦言・ 叱咤激励をいただき,本学の活性化に資することとしています。皆さんには,今後懇談事項として提案がありましたら,下記へお寄せくださるようお願いします。

総務部総務課法規掛(内線2108)  E-mail:syshoki@jimu.kyushu-u.ac.jp