キャンパス・セクハラ防止宣言
〜健全で快適なキャンパス環境を作るために〜
九州大学は,セクシュアル・ハラスメントのない健全で快適なキャンパス環境をつくるために,平成10年7月21日の評議会において次の基本方針を定め,防止に関する規則を制定しました。
「セクシュアル・ハラスメントは,人としての尊厳を侵害する重大かつ不当な性差別行為であり,学生・職員の就学,就労,教育又は研究のための環境を著しく損なう行為として,決して容認することはできない。本学においては,セクシュアル・ハラスメント行為には,厳正な態度で臨むとともに,その防止に努めるものとする。」
あってはならないセクシュアル・ハラスメント
九州大学総長(セクシュアル・ハラスメント防止委員会委員長) 杉 岡 洋 一最近,新聞紙上などでセクシュアル・ハラスメントに関する報道がしばしばなされております。国立大学におきましてもセクシュアル・ハラスメントの問題が浮上し,教員が処分を受けるという事態が発生しております。残念ながら,教員,上司,先輩等がその地位や優位な立場を利用してセクシュアル・ハラスメントと呼ばれる行為を行ったと報道されております。
改めて申すまでもなく,これらの背景には性差別や人権の軽視があり,決して許されるものではありません。すべての構成員が個人として尊重され,性的嫌がらせのないキャンパス環境を作っていくことが重要であると考えます。特に大学はこれに類する被害が生じやすく,被害の事実が表面化しにくい場であるとされております。自由で厳粛な学問の府において,このようなことは断じて許されないことであり,あってはならないことであります。
昨年6月,男女雇用機会均等法が改正され,来年の4月から事業主に対してセクシュアル・ハラスメント防止に対する配慮義務が課せられることとなりました。社会全体がセクシュアル・ハラスメントに対して厳しい姿勢で臨むのは当然で,遅すぎた感さえあります。
私は,高い理念を掲げ,世界の教育研究拠点を任ずる九州大学においては,これに類する行為は決してあってはならない,あるはずのないことだと思います。
本学では,学生・教職員の人権を守るために,セクシュアル・ハラスメントの防止のための指針及び防止に関する規則を制定し,その防止策を十分に講じ,本学に籍を置く者自らを引き締め,間違ってもこのような事態とならぬよう努めたいと存じます。
九州大学の全ての構成員は,人が人としての尊厳を損なうことのない,健全で快適なキャンパス環境づくりに一層努力していただきたいと考えます。
セクシュアル・ハラスメントとは
- 対 価 型
- 相手方の意に反する性的な言動を行い,それに対する対応によって,就学,就労,教育又は研究を行う上で,一定の利益又は不利益を与えること。
- 環 境 型
- 相手方の意に反する性的な言動を行うことにより,就学,就労,教育又は研究を行う環境を著しく損なうこと。
どんなことがセクシュアル・ハラスメントになるのか
- 1 対価型セクシュアル・ハラスメント
- (1) 個人的な性的要求への服従又は拒否を,人事,勤務条件の決定,業務指揮に反映させること。
- (2) 個人的な性的要求への服従又は拒否を,教育又は研究上の指導及び評価並びに学業成績等に反映させること。
- (3) 人事権,業務指揮権行使,教育又は研究上の指導及び評価又は利益,不利益の与奪等を条件とした性的働きかけをすること。
- (4) 相手への性的な関心の表現を業務遂行に混交させること。
- 2 環境型セクシュアル・ハラスメント
- (1) 執拗若しくは強制的に性的行為に誘ったり,交際の働きかけをすること。
- (2) 強引な接触及び性的な行為を行うこと。
- (3) 性的魅力をアピールするような服装や振る舞いを要求すること。
- (4) 正常な業務遂行を性にかかわる話題,行動等で妨害すること。
- 仕事の途中に,相手の性的魅力や自分の抱く性的関心にかかる話題等で妨害すること。
- (5) 性的な意図をもって,身体へ一方的な接近または接触すること。
- 相手の身体の上から下まで長い間じろじろ眺め又は目で追うこと。
- 相手の身体の一部(肩,背中,腰,頬,髪等)に意識的にふれること。
- (6) 性的な面で不快感をもよおすような話題,行動及び状況をつくること。
- 相手が返答に窮するような性的又は下品な冗談を言うこと。
- 職場にポルノ写真,わいせつ図画を貼る等の扇情的な雰囲気をつくること。
- 卑わいな絵画,映像又は文章等を見ることを強要すること。
- 親睦会,終業後の付き合い等で,集団で下品な行動をとること。
- 性に関する悪質な冗談やからかいを行うこと。
- 相手が不快感を表明しているにもかかわらず、その場からの離脱を妨害すること
- 意図的に性的な噂を流すこと。
- 個人的な性体験等を尋ねること又は経験談を話したり,聞いたりすること。
- (7) 異性一般に対する軽蔑的な発言や話題。
- 異性であるという理由のみによって,性格,能力,行動及び傾向等において劣っているとかあるいは望ましくないものと決めつけること。
- 異性の主張や意見を,異性としての魅力に結びつけること。
- (8) 悪意により、人格の評価を傷つけかねない性的表現をしたり、性的風評を流すこと。
- 特定個人の性に関する風評を流すこと。
- 異性の前で,他の異性との性的魅力の比較をする。特にいずれかを悪く言う。
- ここにあげた例以外にもいろいろなセクシュアル・ハラスメントが考えられます。
セクシュアル・ハラスメントの被害にあったら?
- 「自分にスキがあったのでは」とか「うまく受け流せない自分が悪いのでは」などと自分を責める必要はありません。どのような問題でも一人で抱え込まずに,勇気を出して,相談窓口に連絡してください。
相談員があなたの悩みを受け止めます。プライバシーは必ず守られますので,相談したことがあなたの不利になることは絶対にありません。
※ 所属する部局にこだわらず誰にでも自由に連絡をしてください。
- また,相談者は被害者本人だけではなく,相談を受けた者,又は被害を目撃した第三者でもかまいません。
- 相談員連絡先
五十川 直 行 ( 法 ) 642−3177 三 浦 佳 世 (人 環) 642−2417 古 賀 靖 子 (人 環) 642−3336 藤 尾 瑞 枝 (有 機) 642−2724 因 京 子 (留学セ) 642−2150 水 田 代 ( 医 ) 642−5568 大 池 美也子 (医 短) 642−6703 田 中 陽 子 (言 文) 726−4685 長 野 剛 (大 教) 726−4586 一 宮 厚 (健 セ) 583−7858 加 藤 聖 子 (生医研) 0977-27-1656 (別府キャンパス) 吉 松 建 次 (事務局) 642−2116
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セクシュアル・ハラスメント被害対策の流れ
- 被害者等の訴えは相談員を通して,全学に設置した防止委員会が受け止め,部局に常設した調査委員会において公正に事実調査等を行い,被害者救済のための措置等を責任をもって行うこととしております。
セクシュアル・ハラスメント起こさないために!
- セクシュアル・ハラスメントは性差別と職場や学校などにおける上下関係からおこっています。
現状では被害者のほとんどが女性です。このことは,社会の中に根強く残っている性差別の慣習・慣行の存在が大きな問題であると言えるでしょう。セクシュアル・ハラスメントを起こさないためには,“相手が嫌がることは言わない,行わない”という人としてのマナーを守ることが一番大事です。
セクシュアル・ハラスメントのない健全で快適なキャンパス環境の実現のために,私たち一人一人がこの問題についての理解を深め,真摯な態度で取り組む努力をしていかなければなりません。
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- 本学出身の辻本育子弁護士(女性共同法律事務所)による講演「セクシュアル・ハラスメントとは」(6月26日)
多数の教職員が集まり,学内での関心の高さがうかがわれた。