癌に挑む最新治療法

声を残せる喉頭癌の治療


医学部教授 小宮山 荘太郎
 

 頭頸部癌とは,喉や口,鼻などの耳鼻咽喉領域や頸部にできる癌の総称である。人間のコミニュケーション手段の中心の1つである「ことば」にとって極めて重要な,声帯(喉頭)や舌,咽頭にできる癌が多い。癌の治療は外科的摘出が中心であるが,喉頭癌ではそれは声を失うことを意味する。

 そのため早期の喉頭癌では放射線治療が行われるが,本学耳鼻咽喉科では放射線治療に抗癌剤5-FUとビタミンAを併用したFAR療法を開発し,治療効果を高めることができた。元来,喉頭を摘出し声を失っていたような患者さんが,FAR療法により喉頭(声)を温存したまま癌を治し社会復帰している姿を見るのは,医師としての喜びの一つである。

治療法概念図