癌に挑む最新治療法
肝細胞の癌の遺伝子治療
医学部教授 杉町 圭藏遺伝子研究が進み,癌は遺伝子の病気であることが分かってきました。我々の研究室では癌に対する遺伝子治療の研究を行っており,肝癌に対する自殺遺伝子を用いた遺伝子治療もそのうちの1つです。図1のように,癌細胞に特殊な酵素の遺伝子(TK)を導入すると,酵素が発現し,ガンシクロビル(GCV)という薬剤を細胞にとって極めて毒性の強い物質に変換し,細胞死に陥ります。
1つのがん細胞に遺伝子導入を行うと,その隣の細胞にも毒性物質は移行し,相乗効果が得られます。マウスの皮下に移植した肝細胞癌の実験では図2の如く,遺伝子治療により腫瘍の発育が抑えられています。今後は臨床への応用が期待されます。
図1 図2