はばたけ卒業生


学 務 部
 

21世紀を拓く皆さん
 大学改革の最中に九州大学の扉を開き,今,卒業の喜びを得ようとする皆さんは,新世紀のパイオニアとして大いに期待され,程よい緊張感を持ちながら,勉学の成果を発揮する幸運にも恵まれたわけです。未来の世界,21世紀の世界を,より豊かなものにするために,皆さんの力が必要になっています。九州大学を卒業したその日から,社会が期待する皆さんそれぞれの役割は重大です。皆さんとともに卒業する今年度の卒業予定者の概要を,以下に紹介します。
 

 今年度の学部卒業予定者数は,3月1日現在で2,723名であり,修士課程修了予定者数は1,438名(表1)です。前年度3月時(学部卒業者数2,534名,修士課程修了者数1,462名)及び前年度全般(学部卒業者数2,571名,修士課程修了者数1,477名)に比較しますと,学部卒業数において,若干増加する見通しです。

 学部卒業の皆さんは,新カリキュラムを履修した2期生にあたりますが,旧カリキュラムの最後の学部卒業者(平成9年3月期)数は,2,417名(平成8年度全般で2,436名)であり,学部卒業者数は僅かながら増加の傾向を辿り続けています。(表2)

社会が求める即戦力

 このような中で,今春の大学卒業予定者の就職内定率は,1995年当時の氷河期より厳しく,4年制大学生において全国平均で80.3%,九州地域平均で63.8%と,昨年同期と比較しても全国で4.5%,九州地域で9.4%減となっています。
 本学における就職内定状況は,比較的良いとはいうものの,年々厳しくなってきています。

 なお,民間の雇用環境が厳しい中,公務員に関しては,就職ガイダンスへの学生の参加状況などから,人気が高まっている傾向がみられます。本学の平成10年度の国家公務員T種試験合格者は40名,同U種試験合格者は140名(表3)となっています。就職に対する企業側の動きも年々早くなっており,また,今まで以上に優秀な人材獲得に力を注ぐことになると思われ,大学としても,皆さんの就職活動について,引き続きより強力に支援・指導を行っていきたいと考えています。

国際舞台,その交流拡大

 一方,卒業・修了予定者の皆さんの中には,外国からの留学生として,九州大学で学んだ人も多くを数えています。
 本学の外国人留学生は,平成10年11月現在で68ケ国から812名(研究生等を含む。国別では,中国から307名,韓国から152名,インドネシアから52名など)が在籍しています。平成11年3月の学部卒業予定者は31名(国別では,中国から13名,マレーシアから10名,インドネシアから3名など),修士課程修了予定者は84名(国別では,中国から38名,韓国から16名など)であり,博士後期課程でも130名の皆さんが修了又は単位修得後退学の予定です。

 外国人留学生の学部卒業・修士課程修了者の進路状況は,その多くは帰国か進学ですが,日本の企業等に就職する人も少なくありません。10年度の詳細は,今のところ調査中ですが,参考までに平成9年度の就職状況を見てみますと,学部卒業者で4名,大学院から34名(修士課程・博士後期課程を含む。)の先輩達が,大学,製造業,サービス業等に就職しています。

永遠のエール

 皆さんが,社会において中心的に活躍している頃,九州大学のキャンパスのうち箱崎地区と六本松地区等は,元岡地区に移転して,教育・研究拠点として更なる発展を遂げているでしょうし,平成3年の「大学設置基準の大綱化・簡素化」に始まった「大学改革」の全国的流れの中で,独自の改革を終え,固有の新生「九州大学」として,皆さんの活躍に,更なるエールを送り続けていることと思います。

今,卒業の春

 新卒業生に大いなる期待を抱く中,ここに,4名の代表者に卒業を間近にした感想を綴ってもらいました。
 かえりみますと,学部卒業予定者の多くの皆さんが九州大学に入学した1995年は,日本中が痛恨の極みに至った阪神・淡路大震災の惨劇と地下鉄サリン事件の発生を憂えた年であり,修士課程修了予定者の大半が大学院に入学した1997年は,消費税が5%にアップしたり,ある大手証券会社の自主廃業で金融不安が増大した暗いトンネルの入口でもありましたし,この間に体験された修学期間は,一人一人にとって,極めて重要な意味を有したものであったろうと思います。

 ここに掲載された4名の感想文は,いずれも,全ての皆さん一人一人の思いを集約したものでもあり,昏迷の社会においても,明るい未来を予感させる感想文です。
 最後になりましたが,新卒業者の全ての皆さんが健康に留意されて,社会において,大いに活躍されることを祈念いたします。


資料

平成10年度卒業予定者数及び修了予定者数一覧(表1)
学部卒業予定者数修士課程修了予定者数
学  部予定者数研 究 科予定者数
文 学 部       178文学研究科49
教育学部61教育学研究科48
法 学 部340法学研究科63
経済学部317経済学研究科40
理 学 部398理学研究科152
医 学 部109医学研究科−−
歯 学 部64歯学研究科−−
薬 学 部80薬学研究科61
工 学 部876工学研究科405
農 学 部300農学研究科147
  人間環境学研究科38
  システム情報科学研究科177
  比較社会文化研究科57
  数理学研究科43
  総合理工学研究科158
総 計2,725総 計1,440
注)平成11年3月1日の段階での予定者の数である。

 

卒業者数及び修士課程修了予定者数年度別表(表2)
年 度学 部修 士
平成8年度2,4361,352
平成9年度2,5711,477
平成10年度2,7251,440
注)平成10年度は予定者数

 

国家公務員試験合格者数年度別表(表3)
年 度T 種U 種
平成8年度 44 93
平成9年度 43125
平成10年度 40140