思い出の学舎を後に・・・
九大で学んだ素晴らしさ
農 学 部 中谷 裕美子
小学生の頃から環境問題に興味を抱いており,高校生のころからは人為的要因により絶滅に追いやられている希少野生動物の研究に夢を抱きながら九大農学部に入学しました。
大学入学当初は,予想以上に専門が細分化されているのに驚き,自分の漠然とした夢の実現に限界を感じましたが,より具体的な方向付けの必然性にようやく気付き,いろいろな経験や情報を求め始めました。
大学は,今まで接し得なかった専門の学問に触れ,自分の専門に関わらず,あらゆる情報を好きなだけ収集することが容易にできるところだと思いました。私は様々な専門分野の先生方を訪問しましたが,先生方は学生の能力や学部にこだわらず,惜しみなく知識や経験の場を与えてくださいました。
例えば,学科に進級した最初のころは「ダム新設工事が鹿の棲息に与える影響・調査」などにも参加させていただきました。その後,専門の畜産分野では,北海道の酪農家でアルバイトをしながら日本の農業・畜産の現状を少し理解することができたような気がします。また,タイ・ネパールに派遣された海外研修では,外国における農業,関連企業,大学及び研究機関における畜産学や獣医学の現状を見ることができました。さらに,九大と宮大の合同による韓国学研修では,順天大学を訪問するなど貴重な体験をさせていただきました。このように,世界を舞台に研究をされている先生方から多くのことを勉強させていただく楽しさで,大学生活は本当に充実したものでした。何よりもこの様な機会を与えてくださった先生方に出会い,指導していただいたことが大学4年間で最も幸運なことであったと感謝しております。
四月からは大学院に進学し,いよいよ念願であった中国での「パンダに関する共同研究」に参加することになります。まだまだ未熟ではありますが,このような研究にわずかでも関わっていけることは,とても幸せだと思っております。かつて両親から「研究をするときには色々な立場で物を考えることを忘れないように」と言われたことを思い出しております。これから,大学院では,できるだけ多くのことを学び,将来は少しでも希少野生動物の保護と地球環境の保全,ひいては「生物の多様性の維持」に少しでも役立てればと願っているところです。