国際交流の歴史と展開


アジアから世界に広がる交流

 九州大学は,教育及び学術の交流を具体的に進展させるため,外国の大学等と交流協定を結んでいます。昭和56年(1981)に,フランスのボルドー大学との間で最初の大学間協定が結ばれた後,協定校の数は飛躍的に増え,現在では大学間交流協定27,部局間交流協定72,学生交流のための協定9を数えています。

 研究者や学生の海外派遣及び受け入れを助成する制度として,創立80周年記念事業として募った九州大学独自の国際学術交流基金があります。そのほか文部省,日本学術振興会,日本国際教育協会など各種団体による制度が多数あり,海外に渡航する九州大学の教官は,これらの事業によるものだけでも年間約1,500人。九大を訪れる外国人研究者は1,300人を超え,外国の研究機関との共同研究は約140件を数えています。

 九州大学の留学生受け入れの歴史は,明治44年(1911)の九州帝国大学の創設時までさかのぼります。その数は昭和30年代前半までは毎年30人以下でしたが,昭和53年(1978)から急増し,平成10年11月現在で68カ国 812人が学んでいます。このうち学部学生は89人,女子学生は380人です。

 学部や大学院での通常の受け入れのほかに,英語で講義を行う特別コースがあります。平成6年に設けられた農学研究科(現生物資源環境科学研究科)の「国際開発研究特別コース」と法学研究科の「国際経済ビジネス法特別コース」。同じく平成6年に国立大学として初めてスタートした学部学生対象の短期留学プログラム「JTW」です(次頁)。また平成11年には総合理工学研究科に「国際総合理工学特別コース」が設けられます。

 九州大学はこれまでアジア太平洋地域を重視した交流策をとってきており,現在の交流協定締結校のうち,アジアにあるものは62%を占め,アジアからの留学生は全留学生の 80%を超えています。アジアに開かれた大学を目指す九州大学のこの傾向は今後も変わりありませんが,その一方で学術交流の相手国や留学生たちの出身国は,世界中に広がりつつあります。

 

生活環境と日本語教育

 外国人研究者や留学生が長期に滞在できる施設として,昭和42年(1967)に外国人研究員等宿泊施設が,昭和59年(1984)に留学生会館(現国際交流会館)が設置されました。これらの部屋数を合計すると,研究者用は単身62室,夫婦19室,家族8室,留学生用は単身140室,夫婦30室,家族30室になります。

 留学生の学習効果を高めるため,昭和35年(1960)に全国にさきがけて教養部に「日本語・日本事情」が設けられ,翌年国立大学で初めて専従の指導教官が置かれました。昭和60年(1985)に設置された留学生教育センター(現留学生センター)では,九大の留学生や九州地区の大学院に進学する国費及び外国政府派遣留学生の日本語や日本事情の教育,修学や生活上の問題の相談指導などが行われています。

 

望まれる支援

 前頁の留学生座談会でも感じられることですが,国際交流もその基本は人と人との交流であり,信頼関係を築くこと,基本的な生活環境や精神面のケアなど受け入れ体制が整っていることは,交流を成功させる上で不可欠な要素です。

 外国人研究者と留学生,その家族合わせて約380名が住む国際交流会館では,スタッフとボランティアが協力して市民参加の祭りやバザーを開催するなど,地域と連携したより住みやすい環境作りに努めています。

 学外においても,すでに多くの企業や個人の皆さんに宿泊施設の提供やボランティアなどの形で御協力いただいていますが,研究や教育が世界的規模で進行しつつある今日,九州大学の国際交流がより効果的に行われるために,大学の教職員のみならず地域の皆様の一層の支援が期待されています。

学術交流担当:総務部国際交流課
(TEL.092-642-2136)
留学生交流担当:学務部留学生課
(TEL.092-642-2140)
※ 国際交流会館
(TEL.092-681-3061)


地域別留学生受け入れ推移表
地  域 平成2年度 平成5年度 平成8年度平成10年度
東アジア諸国 365 671 671 659
(中  国)(137)(216)(307)(307)
[韓  国][ 79][128][167][152]
西アジア諸国 11 18 16
北アメリカ諸国31 19
中南米諸国 14 30 27 33
アフリカ諸国 11 27 22 29
ヨーロッパ諸国22 38 51
オセアニア諸国
合  計 409 776 816 812