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概要

九大広報Vol.100

――有機物と聞くと寿命とか耐久性といった面で不安に思う人も少なくないと思いますが、その点はどうなのですか。中野谷:まさにその点が我々の研究のポイントでもあります。湿度が高い中で有機物を光らせると、すぐに故障してしまうのが一般的な常識です。でも、材料化学の観点から水や酸素にも強い有機材料を作り出して、それを基にしたインターフェイスを作っていきたいのです。――屋外での使用にも耐えられるものになるのでしょうか。中野谷:もちろん目指すのはそこですが、電車の中で新聞を読む感覚というか、日常生活の中で使っていけるインターフェイスを作ることができれば、そこにいても情報を引き出せると思います。――高野先生のお話にあった伊都のキャンパスOSを表示するようなものができればすごいですよね。中野谷:まだ具体的なプランはありませんが、壁に貼れるようなポスター型の表示デバイスも作れると思います。フレキシブルインターフェイスの大きなメリットは、どのような曲面にも対応できるということです。ポールのような円柱形のものにも貼れるようなものを具現化することが目標ですね。――この拠点のメリットについてはどうお考えですか。中野谷:このようなプロジェクトに参加することで、我々研究者サイドでは思いつかないような新しいアプリケーションが育っていけばいいかなと思っています。――有機ELディスプレイの研究でブレイクスルーすべき点は何ですか。中野谷:やはり耐久性がその1つですね。部屋の中で表示するデバイスであれば、それほど苦労はしませんが、屋外で表示する場合の水分や酸素への耐久性は大きな課題です。それを材料化学と物理の観点から何とか解決していきたいと思っています。都市OS研究をいかに推進させるのか――さて、プラットフォーム、エネルギー、情報デバイスというのは具体的でわかりやすかったのですが、長谷川先生の科学技術イノベーション政策ユニット、藤澤先生の産業数学ユニットは、どのように役割を連携しながら研究を進めていくのでしょうか。まずは長谷川先生からお話いただけますか。長谷川:みなさんはDvorakキーボードというのをご存知でしょうか。現在、一般的に使われているのはQwertyキーボードと呼ばれるもので、昔ながらのタイプライターと同じ配列になっています。Qwerty配列が普及した理由には諸説ありますが、早く文字を打とうとすると活字がついた部分が絡まってしまうので、やや速度が劣るQwerty配列が普及したと言われています。Qwertyキーボードより後に開発されたDvorak配列は入力速度の点でQwertyキーボードより効率的だったけれども普及しなかった。PC全盛となり、物理的な鍵の動きがなくなった現在は、あらためてDvorakキーボードが普及しても不思議じゃないですが、そうはなっていない。何が言いたいかというと、すばらしい技術が普及すイノベーションの7割は需要から生まれる。いかに需要を理解するかが大事。UNIVERSITY Campus Magazine 2015.1011KYUSHU