ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

九大広報Vol.100

ネパール地震復旧・復興支援の派遣調査団成27年4月25日(土)に発生したネパール地震の直後に、3学会(土木学会、地盤工学会、日本地震工学会)の緊急派遣調査団のメンバーとして調査を行いました。現在、ネパール地震の復旧・復興については、JICA等日本政府レベルで進められていますが、今後も発生しうるネパールでの大災害に対し、九州大学として今後必要とされる防災技術の学術協力の役割は極めて重要であり、ネパール大地震に関して具体的な情報収集、ニーズ調査を行う必要があると判断しました。今後の学術協力のため、防災・災害研究に携わる教員による調査団を組織し、平成27年8月2日(日)より6日(木)にかけて、現地調査および関係機関との意見交換を行いました。今回の調査の主な目的として、復旧・復興に向けて九州大学が協力、貢献できる課題の特定や、中長期的に取り組む方向性を明確化することがありました。 ネパールのような途上国では、現地の低コスト材料と労働力で建設可能な技術を開発することが最も適切です。一般住宅の上部構造の耐震補強化は重要な課題ですが、カトマンズ盆地の厚い軟弱地盤上で建設される構造物を地震動そのものによる被害、あるいは川沿いの液状化による被害など懸念されている課題もあります。日本国内では、一般住宅の耐震対策・液状化対策工法は数多く提案されているものの、その多くが大型構造物にしか適用されておらず、一般住宅にも適用できるような安価な耐震対策法および液状化対策工法の開発が望まれています。 私が以前より提案していることとして、廃タイヤをチップ状態にして得られる低コスト材料(タイヤチップ)を用いた住宅基礎の耐震補強があります。タイヤチップは優れた減衰性能に加えて、液状化現象の主な原因である過剰間隙水圧の上昇を抑える効果があるため、液状化しない材料であることが分かっており、この工法を用いることで地盤の液状化を防ぎ、廃タイヤのリサイクルに加え、タイヤチップの弾性的な挙動により、地震時のエネルギーを吸収し、建物へのダメージを吸収することが可能です。Hazarika Hemantaハザリカ へマンタ(工学研究院社会基盤部門 教授)平 今回の調査にあたり各方面よりご支援をいただき、感謝の意を表します。派遣調査団メンバー 工学研究院附属アジア防災研究センター長 塚原 健一 工学研究院 教授 Hazarika Hemanta 工学研究院 准教授 梶田 幸秀 工学研究院 准教授 笠間 清伸 システム情報科学研究院 教授 Pokharel Ramesh先生からの一言【お問い合わせ】E-mail:hazarika@civil.kyushu-u.ac.jp Webサイト:http://www7.civil.kyushu-u.ac.jp/geotech/今後の中長期的な取り組み今回の調査活動により、現地カウンターパートと協力できる研究課題1.カトマンズ盆地の地質構造と地盤情報のデータに 基づく防災・減災対策方法2.地震および大雨による斜面崩壊の脆弱性3.低コストの斜面崩壊防止対策法の構築4.下部構造を考慮した低コストの耐震住宅の提案5.IT技術を用いた災害リスクマネジメント記者会見レポートintroduction34 KYUSHU UNIVERSITY Campus Magazine 2015.10