ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

九大広報Vol.100

「楽観的な現実主義」           現実の問題をしっかり見つめながらも、常に夢を追いかけていきたい。【聞き手】理事山縣 由美子総長としての1年目幅広い人との出会い―― 総長になられて1年が経過しましたが、この1年はいかがでしたか。久保:総長になるまでは医学・医療の世界がほとんどでしたが、この1年は、工学・農学・理学・法学・経済・文学・芸術工学などの広い学問分野について随分と学びました。産学官連携についても、たくさん考える機会がありました。教育についても深く考えるようになりました。学生のみなさんをいかにより良いリーダーに育てていくのかということ。特に国際的な分野で活躍する人に育ってほしいという思いがより強くなったと思います。―― 人との出会いも爆発的に増えたのではありませんか。久保:刺激的な毎日です。特に、未来志向の人や社会貢献の気持ちにあふれた人と会うと、とても勉強になりますし、感動もあります。―― お疲れになることもあるのでは。久保:毎晩、今日はどのようなことがあったのかを振り返りながら、気づいたことをメモするのですが、だいたいその途中で寝てしまいます(笑)。でも、人と話すことが好きですし、みなさんとの「飲みニュケーション」で時々リラックスして、楽しいですよ(笑)。アクションプランに込めた思い―― 新たに策定されたアクションプランについて伺います。アクションプランに総長はどんな思いを込めていらっしゃいますか。久保:今でもエネルギー関連やアジア関連といった分野は世界のトップレベルを誇っていますが、そのような九州大学の強みをさらに伸ばしていきながら、世界と対等に戦っていける大学にしたいです。百周年で掲げた「躍進百大」という言葉どおりに、全部の分野を含めたトータル面で世界のトップ100大学に入ること。その目標に向かって努力していくことが大事だと思っています。私個人の考え方は「楽観的な現実主義」なので、現実の問題をしっかりと見つめながらも、シリアスになるだけではなく、常に夢を追いかけていきたいのです。―― アクションプランで特に重視していらっしゃるのは。久保:骨子として掲げた6つの項目はどれも大事なのですが、やはり九州大学に求められるものとしては、世界に誇れる研究・教育を続けていくことと、社会のさまざまな課題を解決できる、グローバルな視点をもった人材を育てていくことだと思っています。そのためには、ハード・ソフトの両面にわたってキャンパスをきちんと整備して、創造すること、イノベーションを進めていくことが大事になります。―― キャンパス整備については、伊都キャンパスへの統合移転完了まであと3年。アクションプランの重点的な取組のひとつですね。久保:そうです。すでに10年にも及んでいるキャンパス移転をきちんと完了させることが私の使命でもありますし、さらには箱崎キャンパス跡地について、地域住民のみなさんのご理解を得ながら次の道筋をつくることも重要な課題だと考えています。―― 総長ご自身が、伊都キャンパスの中で一番お好きなのはどのようなところですか。久保:広々とした空間と青々とした空ですね。開放感があって大好きです。―― さらに、アクションプランの大切なポイントとして、人文社会科学系の今後があります。これについては文部科学省が人文社会科学系の学部や大学院について、組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むようにといった通知を出していますが、九州大学の取組は、どのように考えていらっしゃいますか。久保:基幹総合大学である九州大学としては、これからも人文社会科学系を大切にしていきますし、すぐれた研究・教育によって伸ばしていきたいと考えています。ただ、時代の要請に応じた組織再編成は必要だと思います。―― 私自身も文学部出身で、文系への世の中の厳しい視線には複雑な思いがあります。総長は「大切にする」と言ってくださいましたが、どのような意味で大切とお考えですか。久保:科学がどんどん進んでいく中で、倫理的な問題もたくさん生じていますね。今後の社会で人類はどうあるべきか。それに対する人文社会科学系の人たちの発言やKYUSHU UNIVERSITY Campus Magazine 2015.1005KYUSHU