http://www.kyushu-u.ac.jp-kyudaikoho_69
15/40

14Kyushu University Campus Magazine_2010.5信電話株式会社(NTT)」として再スタートすることとなり、市場での「競争原理の導入」に加えて、競争促進のための土壌作りすなわち「市場育成」の役割を課されることになりました。 独占から競争へ、官営から民営へ、非対称規制、ネットワークのオープン化、アクセス系の開放、公正競争市場の実現といった環境の変化の中、情報通信の競争の場はグローバルになり、インターネット急成長の兆しがある中で、当初から言われていた国内電話市場でのNTTの巨大性、市場支配力が議論され、1999年(平成11年)7月、NTTは、持ち株会社の下に長距離・国際事業を営むNTTコミュニケーションズと県内通信を担うNTT東日本、NTT西日本に再編されました。分かれてみますと、東日本に比べるとNTT西日本の収益基盤の脆弱さは際立っていました。またユニバーサルサービス提供義務を負う特殊会社として、高コスト構造は宿命的でした。いわば、再編成後のNTT西日本は、「ゼロからの出発」どころか、まさに「マイナスからの再出発」でした。このような経営環境の中、「情報流通企業への脱皮」を事業運営の柱に据え、「電話からマルチメディアへ」「固定電話から移動へ」「国内から国際へ」と激変する経営環境にタイムリーに対応できるよう、大胆な構造改革を行うなど経営改善に努めました。これらの結果、2002年(平成14年)には2001年(平成13年)の1,700億円の赤字から450億円の黒字へとV字回復しました。以後2008年(平成20年)まで7期連続黒字を続けています。 情報通信の世界は、電話の時代とはその様相をまったく異にしており、NTTも時代の変化に合わせて経営の形を変えて対応し、世界最高レベルの情報通信環境を整備してきています。これまでと同様、自らの苦境は断固克服し、「世のため人のために」を念頭に置き、「為せば成る」「正しい思いは成就する」の信念を貫き通したいものです。 経済や情報のグローバル化の進平成21年度 学位記授与式 来賓祝辞展により、今後はますます世の中の変化のスピードが加速していくことと思いますので、是非、皆さんも、ブレない軸を確立する一方、一つの考えに凝り固まることなく、世の中の流れにタイムリーに順応できるよう大胆な発想とともに柔軟性を持って、事に臨んでいただきたいと思います。変化への適応こそが成長の源泉・イノベーションです。 日本は「少子高齢化・人口減少」や「国・地方の巨額債務」等で経済成長に必要な要素を大きく損なっています。日本の最高の資源は「人」です。日本が成長するためには、その「人」が、発想の原点を、変化の最前線であるお客様・生活者のところに置き、目線の先は、世界に貢献し、存在感のある日本に成すことを目指し、やる気を出して行動するしかありません。 特に皆さんのような高等教育を受けた人は、持っている能力を超えた働きをしていただきたいと思います。それには、大きな夢と高い志を持って、自己研鑽を続けることです。自己研鑽を倦まず弛まず継続する一つとして、「有言実行」があります。自分に自らプレッシャーをかけ続けてください。私の造語ですが、「行為置換」、すなわち他人の行動を見て「私ならこうする」、自分のやっていることについては、私の場合、鹿児島県出身ですので例えば「西郷さんならどうするかな?」と行為の主を置き換えて考えてみるということですが、学びの対象としての偉大な先人や、恩師、上司、先輩の人間力を身近に感じ取ることにつながり、日々生じている変化に対する感受性の向上、壁突破への挑戦、自らの個性ある生き方、哲学、理念の確立に活かせると思います。 本日申し上げた純真な初心を大切に、「失敗を恐れず使命遂行」、「目標実現に向けた最大限の努力」、「臨機応変な柔軟性」の3点に加えて、「有言実行」、「行為置換」という言葉を皆さんに贈りたいと思います。 よき師・よき先輩・よき友を得て、世界中から尊敬される日本を皆さんの力でつくり上げてください。一緒にがんばりましょう。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です