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16Kyushu University Campus Magazine_2010.5先生であろうが、ジャーナリスト、芸術家、アスリート、政治家であろうが、いろいろな分野で自分の知識で未知の世界を発見し、新記録に挑戦しながら社会に貢献できるのは立派なリーダーです。エリートは必ずしも社会に貢献しなくてもいいかもしれませんが、リーダーは必ず自分のOutputが社会にインパクトを与えるくらいの気持ちでいてもらいたいと思います。 リーダーになるのは、そんなに分かりにくいことではありません。まず自分の分野で優れることです。本当に自分のやっていることをよく理解することです。物事の認識が深まるとインテレクチュアルに満足感が出て、より深く突っ込みたくなり、新しい発見や理解がいつの間にか出てくるものです。人間は暗い所にいると見えないから怖いのです。人生も同じです。物事が分かると決断ができるようになります。勇気がどんどん出てきて、新しいことにチャレンジし、新発見、新製品、新記録が次から次に出てくるものです。失敗は必ずあります。しかし、倒れてもまた起き上がり、諦めないだけではなくて、もっと高い目標を設定して頑張り続ける人こそがリーダーなのです。私は失敗のたびに、家に帰って本を読みました。関係のない本であっても、何か新しいことをその本から習得することによって、エネルギーの再チャージができて、翌日会社に出て次のことをやることができるようになりました。 リーダーになるもう一つの要件は、人格というものです。人間は社会の動物である以上、常に他人との接触が必要です。他人の立場で物事を考え、自分の日々の生活は言行一致で行い、自分は常に自分の信ずる価値観に基づいて行動すれば、周りの人に信頼されやすくなります。環境が変われば、価値観を修正することも必要です。ただし、これをするには勇気と知恵が必要です。 ここでもう一度今までの話をまとめますと、常識のようですが、リーダーになる四つの特性は、第一に知識をあくなく追求すること、第二に常に高い目標を設定し行動に移すこと、第三に失敗しても立ち直る勇気と根性を持つこと、そして第四に言行一致と人の立場で物事を考える平成21年度 学位記授与式 来賓祝辞ことです。一年、三年、五年先の目標を暫定的に立ててすぐに行動に移してください。これから何をするかが決まっていない方は、どこかでボランティアをやってみてください。日本でもいいし、外国でもいいのです。それをやれば新しい経験が出来て、いろいろな新しい機会が生まれるでしょう。 留学生の方々も本会場にたくさんおられますが、もし帰国されれば、祖国で活躍し、将来祖国と日本の親善、そして世界のために貢献してください。 皆さん、元気を失ってきた今の日本を立て直すためには、エリートの皆さんにリーダーになってもらわなければいけないのです。老化していく日本の将来の重荷も皆さんに背負ってもらわなければなりません。リーダーのInnovationでいろんな困難を克服して、よりすばらしい日本を創ってください。 最後にもう一つ私の経験を皆様と分かち合いたいと思います。確かに私は人生において悔いのないようにやってきました。しかし、もしやり直すことができるならば、やりたい事が一つだけあります。私は30年間会社と仕事だけで生きてきて、浦島太郎のようになってしまい、そのために一番身近な家族や友人をおろそかにしてきました。もう少し彼らと時間を過ごせば良かったと思うのが今の心境です。幸せというものは、リーダーになって社会に貢献すればいいだけではなくて、健康と家族・友人との関係もなければなりません。もう一度、皆さんの成功と幸せ、そして日本の将来の発展を心から祈ります。皆さん、頑張ってください。「九州大学/ロバート・ファン/アントレプレナーシップ/プログラム(QREP)」で講義を行うファン氏

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