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34Kyushu University Campus Magazine_2010.5鶴留さん これまでは被写体に近付く時、自分をさらけ出して撮っていたのですが、実はまだまだ照れや恥ずかしさがあり、被写体と正面からぶつかり合っていなかったのかもしれません。例えば、裸で立ち向かっていたはずなのに、実はパンツまでは脱げてなかったってことですよ(笑)。こ写真は、カメラという機器を使いこなして自分の世界を表現するのですが、レンズに埃が付いていたり、光の関係で実際より暗く写ってしまったりと、全く考えていなかった作品ができたりします。そんな思い通りにいかないところが、写真の魅力の一つです。フィルムであればなおさらです。フィルムは、一発勝負。現像するまで、どんな写真が撮れているかわかりません。そこで失敗するからこそ、次はこうしようとかいろいろ考えます。そこを突き詰めていくと、自分が撮りたいものは何か、見せたいものは何かが明確となって、表現の可能性が広がります。写真には、無限の可能性が備わっているのです。江本さん 写真は、手軽で誰でも入り込みやすいものです。例えば、音楽であると、作品を作り上げるためには、相当な練習時間を要する場合もありますが、写真はシャッターボタンを押すだけで形になりますし、撮り方次第で独自性が出せます。また、学校の行き帰り等、日常でもすぐに形にできます。そのようなことが自分の周りのいろんなものに目を向けるチャンスにもなります。鶴留さん さらに、写真は人の表情を表現することができます。ファインダー越しに、その人らしい表情が出る瞬間を狙います。すると、「この人は普段こんな表情するんだなぁ」「この人の笑顔は素敵だなぁ」とかその人の意外な部分が見えてきて、人に対する考え方が変わりますよ。写真の魅力については、他にも誌面に書ききれないほど語ってくれました。―そんな魅力ある写真について、今後どのように撮っていこうとお考えですか?七月展 平成22年6月29日~7月4日福岡市立美術館市民ギャラリー 入場無料連絡先 qphoto08@gmail.com江本さん鶴留さんれからは、パンツを脱いで、いろんなものに向かいたい。写真を通して、世界を広げていきます。―最後に、恒例ですが、お好きな言葉を交えてこれから九大を目指す後輩たちへメッセージをお願いします。鶴留さん 「カメラはとりあえず持ち歩け!」。あのとき撮っときゃ良かったなぁと後悔するぐらいなら、とにかくシャッターをきってほしい。今この瞬間しか撮れないものがたくさんあります。カメラのファインダー越しに世の中を見ると、違う世界が見えてくるし、物事を丁寧に見るようになりますよ。だまされたと思って写真部に入って試してみましょう!江本さん 「水を飲んでこれを牛は乳とする 水を飲んでこれを蛇は毒とする」。同じものでも受け取り方一つで全く異なるし、自分次第でいかようにもなります。これは、写真についても言えることで、最初つまらないと思った被写体でも、自分の技術や知識によって、何か素晴らしく新しいものに見え、表現の仕方で大きく変わります。たとえ嫌なことが起こっても、自分の経験や知識によって見方を変えてみてください。そうすると世界も変わってきますよ。

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