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10Kyushu University Campus Magazine_2010.7うと思ったら、それに影響している因子をたくさん拾い出して、一番効いている因子はこれだというのを見つけます。経営も、緊急の課題を考える時、財務や経理、研究開発、販売などいろんな因子が出てきます。その中から、一番重要なものを見つけて、そこに対策を打つ。技術系社長だからというメリットは特に感じませんが、研究も経営も考え方は一緒だと思っています。―組織の「バリアフリー化」の必要性も説いていらっしゃいますが、どういった経験からそう感じられたのでしょうか。 佐藤 チタンをやっていたときの経験が大きいです。大きな部門は組織がしっかりしていますが、何かを始めようとした時になかなか動きません。チタンに携わっている頃は、組織は小さかったんですが、物を売るというゴールには近かったんですね。もちろん組織化は大切ですが、それだけだと周りとの関係が見えなくなることがあるんです。全体の目標より、自分のチームの利益、ローカルの最適化を求めるようになりがちなんです。垣根をすべて壊せとはいいませんが、人が潜りこんでいけるくらいの小さな穴を開けるだけで、物事がスムーズに進むこともあると思っています。様々な部門が混じり合えば、他にはできない高度な提案もできるのではないかと思っています。―けれども、神戸製鋼所のような大きな企業では、かなり難しいことなのではないでしょうか。佐藤 確かに難しいところはありますが、そのリーダーになってくれる人が全社員の数に対してルートの数ほどいてくれればいいと思っています。具体的に言うと部長級のするし、成功すると思います。それにかなっていないものは、ただラッキーなだけです。それを大学時代に教えていただいたのは本当に良かったと思っています。―今の九州大学の学生に望むことをお聞かせください。佐藤 世の中は広くなっています。今や外国の人たちと付き合っていかなければ生きていけない時代です。ですから、ぜひ世界に目を向けてほしいですね。九州大学は、中国や東南アジアなど、海外に対して地理的なアドバンテージも持っていますよね。これを活かしてほしいです。また、学生時代というのは、自分が好きなこと、やりたいことを見いだす時期であって、その時間と自由度が与えられている期間ではないでしょうか。ですからあまり早くから自分の進む方向を決め打ちするのはどうかと思います。むしろいろいろなことを幅広く学ぶことが大切ではないでしょうか。世の中にはいろんなチャンスがあります。視野を広くして多くのことを経験してほしいですね。 (このインタビューは、平成22年6月4日神戸製鋼所東京本社において行いました。)インタビューシリーズ・九大人 佐藤 廣士 人たちです。彼らに私の思いを説いて議論してもらっています。異なるものが一緒になる、いわゆる核融合みたいなものですから、相当なエネルギーを費やしますが、そのエネルギーを与えるのが私やリーダーたちだと考えています。―九州大学での体験で、今につながっていると感じられることはありますか。佐藤 学生時代、いつも指導教授から、実用化など考えず、今起きている現象の本質だけを追求しろと言われていました。本質がわかれば、いくらでも対応案や促進案は出てくると。その言葉を座右の銘にしています。やはり、初期の段階では原理原則を考えるのが基本です。原理原則にかなっているものが長続き

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