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4Kyushu University Campus Magazine_2010.7総長対談 ロバート・ファン×有川節夫 自分に自信を持って リーダーシップを 発揮してほしい安浦 本日の学位記授与式では素晴らしいスピーチをいただきありがとうございました。スピーチの中でファンさんは、日本の社会におけるリーダーの必要性について語られましたが、一方、2005年度からご支援いただいているQREPにおいては、学生のアントレプレナーシップの涵養にも努めていただいています。リーダーシップとアントレプレナーシップについてもう少しお話しいただけませんか。ファン アントレプレナー(起業家)になるにはリーダーシップがなければなりません。けれども起業にはリスクが付きものですし、背負うことができるリスクには個人差があります。ですから誰もがアントレプレナーになれるというわけではありません。一方、リーダーシップは、もっと幅広く、様々な分野で必要とされるものです。安浦 総長は、リーダーシップについてはどのようにお考えですか。有川 ファンさんのおっしゃるとおり、アントレプレナーは事業を興すわけですから、最初から当然リーダーであるはずです。ただ、既存の組織の中でがんばっている人もいるわけですから、組織の中でリーダーシップをいかに発揮するかも重要なポイントです。組織においては、各層にリーダーがいることが必要なんです。九州大学にはその素養を持っている人が大勢いると思いますので、周りから一歩抜け出して、全体を引っ張っていける人材がもっともっと出てきてもいいんではないかと思っています。ファン 私が、学生に対してあえてリーダーシップという言葉を使うのは、この言葉によって彼らをその気にさせようとしているのです。それぞれが持っている優れた力を引き出したいのです。それから「出る杭は打たれる」という言葉があるように、日本にはリーダーシップを発揮しにくい雰囲気があります。けれども、入学時からリーダーシップの涵養に努めれば、学生たちもリーダーシップに対して抵抗感が少なくなるんではないでしょうか。言葉というものは、何回も何回も繰り返し言い聞かせれば、だんだんと身についてくるものなんです。安浦 「持っている優れた力を引き出す」ということに関しては、総長は常々「気付かせる教育」とおっしゃっていますね。有川 リーダーシップであってもアントレプレナーシップであっても、自分自身に自信を持つことが大切です。私は、ほとんどすべての若者が極めて高い能力を持っていると思っています。これまで数多くの学生たちと接してきましたが、彼らはいったん自信を持ち始めますと、すごい力を発揮して、やれないと思っていたことでもやれるようになります。そして、そういったことを目の当たりにした後輩たちが、自分もできるんだと思うようになるんですね。大事なことは、学生たちに、自分が極めて高い能力を持っているんだということにいかに気付いてもらうかであって、私は常々そのことを大学の教育の基本におきたいと思っています。 パイロットベースで まず走らせる安浦 ファンさんにもうひとつお聞きします。21世紀に入り、経済が、知識、サービス、そして様々なシステムの運用で回るという段階に入っている中、苦境にある今の日本で、昔に帰ろうとして「ものづくり、ものづくり」と言っている人たちがいます。確かにものづくりは大切なんですが、それに加えて何か新しい考え方が必要ではないかと思うのですが。ファン 確かに日本では、多くの方々がものづくりから脱していないと感じます。ものづくりというのは、ソフト面よりハード面のウエ2010年3月 名誉博士の称号授与式にて 左から有川総長、ファン氏、奥様、お姉様

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