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11Kyushu University Campus Magazine_2010.9井上 どのような人が見に来られているのですか。宮川 ユーザーの約半分がセルフラーナー。つまり、何か興味があるから見に来たという人たちです。残りの35%は他の大学の学生や教員。残りが高校の先生などです。藤村 良い教材を作ると良い学生が集まるというようなこともあるんでしょうか。宮川 はい。MITの新入生に、高校生の時、OCWを見ていたかと聞いたところ、約半数が見ていたと答えています。さらに、見ていたと答えた学生の35%が、MITを選んだ大きな理由にOCWをあげているんです。MITに入学する学生の多くは、他大学からも引きのある優秀な学生です。その学生の多くがOCWを見てMITで学びたいと思ったと言うのは、すばらしい成果です。安浦 確かにそうですね。井上 しかし、高校生には内容が難しいと思うのですが、高校生向けの教材を考えたりされているんですか。宮川 優秀な大学を目指している学生は、高校生の時にAP(アドバンスツプログラム)という授業をとります。これは大学で通用するような内容なんですが、そのAPの内容を調べてOCWの中に「ハイライツ・フォー・ハイスクール」というものを作りました。OCWを新しく作り直したわけではなく、APを受けている高校生のアクセスポイントを変えただけのものなんですけどね。安浦 リンクをうまく張って入りやすくしたということですか。宮川 その通りです。非常に評判がいいんですよ。アクセス数が毎月増えています。安浦 現在、OCWへの教材の提供は、先生方のオブリゲーションになっているんでしょうか。宮川 いえ、オブリゲーションにはしていません。安浦 オブリゲーションでなくても、全ての教員が教材を提供しているのは凄いですね。宮川 MITで教えている授業が2000科目あるとわかった時に、そのうち500を超えれば、周りがみんなOCWをやっているように見えるんじゃないかと。実際、そうなりました。OCWに教材を提供していない方が少数派に見えれば、何でやらないのかってことになるわけです(笑)。井上 当初から、MITの講義資料を公開するだけでなく、世界中の大学に広めようと考えていらしたんでしょうか。宮川 はい。私たちが最初にベスト学長に提案した内容は二つありました。一つはこれまで話してきたOCWのモデル作り。もう一つは、ある程度、MITのOCWの形ができたら、世界の大学に呼びかけて、多くの大学でOCWを推進してもらおうと言うことでした。そこで打ち上げたものは、きっとクオリティの高い知的財産になると思ったのです。現在、インターネットが広がって様々な情報がありますが、出所がはっきりしないものも多くあります。しかし、OCWで打ち上げるものは、少なくともそこの大学が認めているわけですからね。世界中の人に安心して使ってもらえます。藤村 アメリカの学生よりも、他の国の学生の方がOCWを多く利用していると聞いたことがあります。宮川 それは、嬉しいことですね。九州大学もかなり初期の段階から活動されていますが、日本では23の大学がOCWを推進しています。これだけの大学が集まってOCWを進めている国はありませんから、日本は世界中から期待されているんですよ。 教員のメリットも大きい安浦 日本の先生の中には、教室の中だけなら、ウェブサイトの内容をそのまま持ってきて使うこともできるけれど、外に公開するとなると、著作権処理をしなければどんな問題が起きるかわからない。そう思った瞬間に、気持ちが竦んでしまう人もいるようなんです。その辺りMITでは、どのように対応されているんでしょうか。宮川 著作権の問題が発生するというのは、最初から予測していまして、最初にOCWの組織を作った時に、

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