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12Kyushu University Campus Magazine_2010.9特別対談 宮川繁×安浦寛人知的財産専門の弁護士を雇って解決するプロセスを作ってもらいました。最初は大変でしたが、最近はほとんどクリアできているようです。藤村 引用した相手に、そのままOCWに公開しても良いという許諾をもらうのですか。宮川 インターネットへの公開、ダウンロード、コピー、配布、改変といった5つの許諾です。最初は、みんな無理だと言っていましたが、最近は理解してくれるようになりました。安浦 トラブルはないんですか。宮川 そうですね。ある小さな出版社からクレームがあった時は、OCWでの利用を許可してもらえたら、MITのOCWからそちらのウェブサイトにリンクを張ってもいいですよと言ったんです。OCWが毎月100万人から見られていることも説明してね。すると、ぜひ、使ってくださいと言われましたよ(笑)。安浦 やはり数の力はすごいですね。宮川 ええ、大きいです。しかし、著作権の問題は、日本ではちょっと状況が違いますよね。藤村 今は著作権の問題が起きないように、書き直す方向で考えているんですが、どうでしょう。宮川 それを誰がやるかですよね。先生方がやるとしたら、大きな負担になってしまいます。藤村 そこが問題なんですよね。どこかで支援できるといいんですが。安浦 参加している日本の23大学で、著作権フォローを統一的にやるのもいいかもしれませんね。宮川 今、MITでは、先生の8割が他の先生の教材を見ていて、それを参考にしていると言っています。これは画期的なことです。普通は他の先生の授業を見る機会はないですからね。日本では、大学の授業改革のための組織的な取り組みとして、FD(ファカルティ・ディベロップメント)がありますが、まさにそのFDだと思うんです。安浦 学生に教えるべき大事な内容も、先生たちが誰も取り上げないために教えていないものもある気がします。逆に、いろんな先生が取り上げるから繰り返し教えているものもあると思うんです。先生同士でそれぞれの教える内容を共有できれば、より有意義な教育ができますよね。井上 FDと言うと義務的な感じもしていたんですが、教員にとってのメリットも大きいのがわかりますね。藤村 それをわかってもらうまでが大変なんでしょうけど。宮川 やはり数ですよ。ある程度の数を打ち上げると、そういうことが自然にできてくるんです。 世界に目を向け、様々な 分野で貢献してもらいたい安浦 個人的には、今後、OCWだけの検索エンジンができればと思っているんです。そうすると雑音的なものが省けますからね。宮川 グーグルでエデュケーションサーチとかいう新しい企画を考えているようです。OCWを視野に入れていると思いますけどね。そこと協力できればいいですね。井上 最後になりますが、宮川先生から九州大学の学生や教員に向けて、一言いただけますか。宮川 九州だけでなく、日本や世界へ目を向けて様々な分野で貢献してもらいたいです。そしてより良い世界をつくってほしいと思っています。(左から)藤村副センタ―長、安浦理事・副学長、宮川教授、井上講師世界の先駆けとなったマサチューセッツ工科大学のOCWiPhoneアプリにても視聴可能(http://ocw.mit.edu/index.htm)九州大学OCW 「QOCW」(http://ocw.kyushu-u.ac.jp/)

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