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17Kyushu University Campus Magazine_2010.9活性酸素種による心血管疾患発症のメカニズムを解明聞き手 理学研究院 河合 伸 准教授吾郷 哲朗 九州大学病院 腎・高血圧・脳血管内科 助教あごう てつろう活性酸素種の発生メカニズムにおいて独創的な仮説を提唱河合 先生の研究テーマである活性酸素という言葉は、最近、マスコミなどでもよく耳にしますが、実際どのようなものかわかっていない人も多いと思いますので、ご説明いただけますか。吾郷 医学研究の中で主として対象となる活性酸素種は、スーパーオキシド(02--)、過酸化水素(H202)、ヒドロキシラジカル(OH--)の三種です。これらはまず02--として体内の細胞で産生され、H202やOH--へと変化します。H202は細胞内シグナル伝達物質として作用しますが、OH--は非常に強い酸化力を有し、細胞内の核酸(DNA)や、細胞膜脂質を酸化し、癌の発生や細胞機能障害を引き起こします。02--の発生機序ですが、ミトコンドリアにおけるエネルギー(ATP)産生に伴い、副産物として02--がミトコンドリアから漏れ出てくるというのが一般的な考え方です。一方で、02--を産生することを主目的とする酵素群(後述のNADPH oxidase)が近年複数発見され注目されています。生体内では、活性酸素種ができても、これを速やかに消去するシステムがいくつもあります。活性酸素種の活性酸素種の研究を、臨床へフィードバックしたい「フロントランナー」は、九州大学の研究の最前線をインタビューで紹介するシリーズです。シリーズ第22回目は、九州大学病院 腎・高血圧・脳血管内科の吾郷哲朗助教に、理学研究院の河合伸准教授が聞きます。22

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