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20Kyushu University Campus Magazine_2010.9採択されるには、その研究が重要、かつ、魅力的なものでなければなりません。研究そのものはもちろんのことですが、研究者として成功するために何が必要なのかといったことを3年間、佐渡島先生の近くで学ばせて頂けたことが一番の財産だと思っています。河合 このような大きな賞をとった方のほとんどは、アメリカに残って研究者の道を極めると聞きますが、日本に戻って来られた理由をお聞かせいただけますか。吾郷 私は留学して、自分が日本人であることを再認識しました。このグローバルな時代にこそ、自分は日本で頑張りたいと思いました。ただ、佐渡島先生には、帰国する際に「10年後、この賞をおまえの弟子にとらせろよ」って言われました(笑)。同じ賞でないにしても、そのつもりで後輩を指導しています。できるだけ病気に近いところでメカニズムを追求したい河合 医師であり、研究者である先生のやりがいはどういうところにあるのでしょう?吾郷 多くの生命科学研究は、病気のことと関連があるように思います。医師は、常に患者さんと接していますので、病気の発症メカニズムや治療上の問題点などをを明確にしやすい立場にいます。そのような立場で研究を積極的に推進できる医師がいなければならないと思っています。また、最近はより単純に、自分の研究が将来病気の予防や治療に少しでもつながればと思うようになってきました。医師である以上、できるだけ病気に近いところで、様々なメカニズムを追求したいと考えています。河合 それは、医師としての経験を積まれてきたからなんでしょうか。吾郷 そうかもしれません。研究を始めたころ、恩師である故・藤島正敏教授によく質問をされました。「臨床にどう還元するんだい?」。潜在意識の中に、その問いかけに応えたいというのがあるのかもしれません。研究の着想は、大学院で指導していただいた住本英樹教授の影響を強く受けていると感じます。若い時にどんな指導者に出会ったかが大事だと言われますが、私は様々な局面で、素晴らしい先生方と巡り合ってきたものだとつくづく感謝しています。河合 臨床医として、現在の研究をどのように展開していきたいと思っていらっしゃいますか。吾郷 私は動脈硬化を基盤として発症する脳卒中の診療を専門にしていますので、活性酸素種が動脈硬化の進展に対して、どのような役割を果たしているかを明らかにし、脳卒中の発症予防につなげていきたいと思っています。また、現在は、脳卒中が起こった後に、障害をいかに最小限に抑え、神経機能の回復を如何に有効に誘導するか、といったことについても、活性酸素種の知識を活かして研究しています。多くの感動体験を持って、 自分の道を見つけてほしい河合 最後に、九州大学の学生にメッセージをお願いします。吾郷 私自身のモットーは、〝今ある環境の中で、できることを精一杯頑張る〟ことです。その中で、運良く新たな発見や目標ができれば、次のステップを目指して頑張ればいい。若いうちにすべてを見通すのは難しいものです。目の前にあるものを一生懸命やってみる。そうすれば、道も開けてくると思います。Profile吾郷 哲朗吾郷 哲朗 助教 プロフィール1993年 九州大学 医学部 卒業1993年 九州大学病院・内科 研修医1994年 公立学校共済組合九州中央病院内科 研修医1995年 聖マリア病院・脳血管内科 レジデント2000年 九州大学大学院医学研究院医学系研究科修了《博士(医学)》2000年 九州大学病院・内科 医員2002年 誠愛リハビリテーション病院・福岡脳血管研究所 研究員2003年 九州大学医学研究院・病態機能内科学COE研究員2005年 米国・ニュージャージー医科大学 ポスドク2008年 九州大学病院 腎・高血圧・脳血管内科 臨床助教2009年 5月より現職インタビューを終え、左 河合准教授、右 吾郷助教
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