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7Kyushu University Campus Magazine_2010.9聞かれることもありますが、弊社が七百数十万人という膨大な契約をいただいているのは、やはり、いざという時のために保険に入っておきたいと考えている人が多いからだと思います。私自身、弟の死を見てきましたので、保険の大切さを痛感しています。保険がなかったら、弟の家族は、後々の生活が大変だっただろうと思います。人生においては、時には予測できないことが起こります。だから、経済的な備えをしておくことも大切なことなんです。弊社の中興の祖と言われる故新井正明名誉会長は「悲しみとともに貧しさがやってきてはならない。そのために保険がある」と言っています。だから、保険を通じてお客さまのお役に立てた時は、この仕事の意義を感じるし、うれしく思いますね。鮎川 会社のリーダーになられるまで持ち続けられた信念のようなものはありますか?佐藤 誰でもどこかで、過去を振り返り、今後どうするべきかを考える時があると思いますが、私は、支社長というポストに就いた時がそうだったかもしれません。支社長は、中間管理職のように思われがちですが、現地では、かなり広範囲に権限を与えられるし、業績に対する責任も大きいんです。私は支社長になるとき、その心得を、当時相談役だった新井名誉会長に教えていただきました。そのなかで私の心に残った言葉が2つあります。一つは、「逆耳払心(ぎゃくじふっしん)」。中国の「菜根譚」という古典の言葉ですが、耳の痛い話を聞き、思うようにならない状態にいてこそ、人間は磨かれるのだという意味です。新井名誉会長は、支社長という地位になっても、部下の言葉に耳を傾け、そのうえで自分がどう行動するのか考えなさいと言いたかったんだと思います。私は今、社長というポジションにありますが、こうして取材を受ける時も、話をしながら、この言葉どおりに行動しているか自分に問いかけているんですよ(笑)。もう一つは、『貞観政要(じょうがんせいよう)』という唐の皇帝の言行録の中にある「君主は船であり、人民は水である」という言葉です。「庶民が安ずればこそ、君主も安泰である」と、君主の苛政を戒めた言葉ですが、私は、支社長が船で、従業員が水だと思ってきました。地域の長がしっかりした仕事をしなければ、従業員はついてこないし業績も上がりません。平成7年に赴任した徳島支社には、一県一支社でしたから、当時500〜600人の職員がいました。よく言えば一国一城の主ですが、やはり、私一人の力では何もできないんです。私一人で走り回っても、何百人もの人が心を一つにして働いてできることにはかないません。だから、職員の声を聞き、自分の考えることを、支部長という直近の部下を通じて職員に伝えていくことに努めました。「逆耳払心」については、会社とお客さまの関係で考えれば、お客さまの声に耳を澄ましなさいということになります。お客さまの言葉に真摯に耳を傾け、これを大切にすることが、会社を改善し前に進めるのです。自助努力は大切。若い世代に制度理解を促していきたい萩尾 将来の日本の社会保障のあり方についてお聞きしたいのですが。佐藤 非常に難しい問題です。日本の社会保障制度は、非常によく整備

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