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8Kyushu University Campus Magazine_2010.9されていると思います。医療について言えば、アメリカは公的健康保険制度がなく、ごく一部の困窮している人や高齢の人以外は、自助努力しなさいという世界です。中国も社会主義国なのに医療制度が整備されていません。その点、日本は国民皆保険。他の国に比べれば公的な健康保険制度が充実しています。けれども、高齢化社会になり、人口構成が変化してくるにつれて、制度の持続可能性が問題になっています。社会保障の問題については、様々な立場から様々な意見が出されています。それぞれ利害が違うのでとても難しい問題です。国民のコンセンサスを得るのは大変ですが、それをするのが政治の力でしょう。一方で、公的な保障だけで、人生における様々な出来事に対応できるかというと、これはやはり難しいのです。例えば、家族が入院したときのことを考えてみてください。公的健康保険制度で、医療費の上限は決められていますが、差額ベッド代、着替え、交通費など医療費以外にもいろんな費用がかかります。仕事ができない間の収入減の補填も必要です。これらは公的補償ではまかないきれません。やはり自助努力が必要なのです。これらをカバーするのが保険です。日本の保険会社の多くは、株式会社ではなく相互会社です。契約者皆でお金を出し合って、誰かがお金が必要な状況になったら、そのお金で補償を行います。相互扶助の精神が根底にあるんです。いずれにせよ、今後、社会保障制度は大きな政治問題になるでしょう。議論のためには、もっともっと国民間で制度理解が必要です。若い世代にも、社会保障制度についてもっと関心を持ってもらうとともに、自助努力が大切であることっていくうちにだんだん身についてくるものです。仕事に対する責任感と問題意識を持って、常に「こうしていきたい」と考えていると、必ずや成長していきます。最近は、九大から弊社に入る人が少なくて寂しく思っています。保険の仕事は、今後、世の中できっと重要な役割を果たしていくはずです。是非後輩の皆さんが飛び込んできてくれることを期待しています。(このインタビューは、平成22年7月28日伊都キャンパスの役員室で行いました。)インタビューシリーズ・九大人 佐藤 義雄 を理解していただきたいと思います。萩尾 最後に後輩である九大生にメッセージをお願いします。佐藤 九州という土地柄もあると思いますが、九州大学は開放的な雰囲気を持った大学だと思います。その良さを失わずに、好奇心を持っていろんなことにチャレンジしてほしいですね。それから、社会に出たら、主体性を持って仕事に取り組んでほしいですね。上司の立場から見て困るのが、何かが起こったときに「こういったことが起きていますが、どうしましょうか」と聞いてくる人です。自分なりに必要な情報を集め、自分なりの対処のプランを持った上で上司に相談する、そういう仕事のやり方を心がけてほしいと思います。社会人になるということは、そういうことです。そういう私も、学生から社会人になったときには、社会人としての必要な技能をまったく持っていなかったことがわかり、カルチャーショックを受けました。こういったことは、仕事をや(左から) 鮎川さん、佐藤社長、萩尾さん文系大講義室での講義の様子

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