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9Kyushu University Campus Magazine_2010.11学生のやる気を喚起する、ケンブリッジ大への英語研修。都留 私も留学生と触れあったり、国際学会で発表したりするなかで、一番重要なのは、コミュニケーション力だと思っています。先生は、学生を対象にしたケンブリッジ大学への英語・学術の研修も企画されていますよね。鈴木 ええ。これは持論ですが、英語の力の伸びと時間の経過をグラフにしたら、なだらかにはならずに、自分がどこかで集中的に負荷をかけて勉強した時にぐんと成長するパターンが多いんじゃないかと思います。きっかけさえあれば、英語力は一気に伸びるんです。九大の学生のなかにも、ポテンシャルに素質があって一押しすれば伸びるのに、きっかけや情報がないために、漫然と学生生活を送っている人がいます。ケンブリッジ大学への研修は、そんな学生たちの刺激になっていると思います。都留 先生が、手弁当で事前研修も行われているとお聞きしましたが。鈴木 ええ、向こうで研修を受けるのは夏に3週間程なんですが、募集を前年の5月~10月にかけて行い、11月に参加者を決定。その後の8カ月間で事前研修を実施しています。英語やイギリスの歴史を勉強したり、研修先で週末に行く旅行を、自分で手配するための準備学習などを行っています。私は、この事前研修が重要だと思うんです。ケンブリッジという名門大学に行くんだから、相当準備しておかなくちゃいけないというプレッシャーを学生に与える。そのプレッシャーを、英語や歴史、あるいは、自分の専門の知識を身につけるきっかけにしてほしいのです。都留 具体的には、学生はどんなことを学ぶのですか。鈴木 研修では、英語と学術の専門科目を学びます。英語は、いわゆるアカデミックイングリッシュ、単語や文法の勉強、作文やプレゼンテーションといった硬派のものと、コミュニケーションや文学といった芸術的な感性からアプローチするものの2つに分けています。学術は、人文系、社会系、自然科学系の中から一つ学生に選択してもらっています。それぞれ、世界的に権威のある専門家に教えてもらっているんですよ。なかには消化しきれない内容もあるかもしれませんが、これだけのものに触れたという経験を、九大に帰った後の勉強につなげてほしいと思っています。参加者の中には「これまでいかに、ぬるま湯に浸かっていたかよく分かった。これから気を引き締めて一生懸命勉強する」と言う人もいます。また、参加した多くの学生が、その後、九大の交換留学にアプライしていますし、一番上手くいった人は、単独で海外の大学院の博士課程にトライして合格しました。都留 それはすごいですね。どのような学生が参加しているんですか。鈴木 各学部から、志の高い学生が参加してくれていますよ。普段、クラスメートの間では話せなかった将来の話や、これから自分はどう生きていくのかということを、とことん話せる仲間ができたと、喜んでいる学生も多いようです。大事なのは英語を使って何をするか、目的を持つこと。都留 学生もいずれ社会に出て行くことになりますが、先生は、社会で必要とされる英語力とはどのようなものだと思われますか。ケンブリッジ大での英語研修にて

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