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10Kyushu University Campus Magazine_2010.11鈴木 社会から要請されるものというと、企業が求めているものと考えがちですが、語学を活かして、自分の力を社会にどれだけ還元していくかという観点を持つことが大事ではないかと思います。企業では、検定試験的な能力を求めることが多いようです。これも必要ではあるんですが、本当に必要なのは、それを使って、相手と交渉したり、こちらの意志を伝えたりする能力なんです。仕事をしていく上での単なるリスニング能力だけでなく、交渉力、説得力、世の中全般に対する知識など、あらゆる能力を高めなければなりません。英語力を付けるトレー二ングは必要ですが、そこに教養人としての知識や、それを伝えるコミュニケーション力をどこかで開発しなければならないのです。大学でも、ドリル的な能力以外に、相手を説得するために、何をどう書いたらいいかといった作文力や、国際社会で通用するプレゼンテーション力などを育てる必要があると思います。都留 最近は、英語を公用語にする日本の企業もありますが、九大生が将来、社会で活躍するためには、今、どんなことをやっておくべきだと思われますか。鈴木 日本の企業が英語を公用語にすることについては賛否両論ありますが、私は必ずしも英語だけを使う必要はないと思っています。日本語で伝えた方が理解しやすい場合もありますから。英語は目的ではなく手段なんです。問題なのは、英語を使って何をしたいのかということ。目的がはっきりしていないのに、手段だけ整えようとしても馬力は出ません。英語を使って何をしたいのか、それさえ明確になれば、自分で自分の背中を押せると思います。だから、まずは、目標を自分でつかむことが必要です。それから、英語を上達するのに楽な道はありません。上達するコツは、自分に負担をかけること。とにかくがむしゃらに勉強するしかないんです。その覚悟と目的を持っていれば、社会に出て恐いものはないと思いますよ。異なるニーズに応える英語プログラムを提供したい。都留 最後に、先生の英語教育における将来の夢などあればお聞かせください。鈴木 現実を無視した理想ですが、本当に英語を勉強したいと思っている人や、あと一押しすれば英語力の花が開く学生、または、九大のブランドを維持する上で、どうしても英語力を引き上げなければならない人など、異なるニーズに応える英語プログラムを提供できればと思っています。また、九大の先生方を対象にした英語力向上のためのものや、社会の人たちに開かれたものなど、様々なプログラムをサーバー上に置いて、多くの人に、Eラーニングとして使ってもらうのが夢ですね。でも、今のペースだと300年以上かかりそうです(笑)。Profile鈴木 右文インタビューを終え、(左) 都留准教授、(右) 鈴木准教授鈴木 右文 准教授 プロフィール1986年 早稲田大学教育学部英語英文学科卒業1988年 千葉大学大学院 文学研究科 欧米言語文化専攻 修士課程修了1989年 千葉大学文学部研究生1992年 東京都立大学大学院 人文科学研究科 英文学専攻 博士課程 単位取得退学1992年 九州大学言語文化部 英語科 専任講師1993年 九州大学言語文化部 英語科 助教授2000年 九州大学大学院 言語文化研究院 言語科学部門 助教授2007年 九州大学大学院 言語文化研究院 言語環境学部門 准教授 現在に至る

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