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14Kyushu University Campus Magazine_2010.11韓国研究センター長NEXT Professional常に10年後の趨勢を展望する研究者であってほしい。社会や政治に影響を受けない日韓の歴史を見いだしたい。 新城さんは、韓国語の勉強のため、韓国の大学に一年間留学しました。その時、韓国人の多くが、歴史をイメージだけで捉えていると感じたそうです。 「『独立門』と言う門があるんですが、これは中国からの独立を記念して建立された門なんです。けれど、韓国の友人に聞いてみると、90%は、中国ではなく日本からの独立と答えるんですよ。韓国の近現代史の教科書には、表紙に独立門を大きく載せて、中では日本に抵抗した歴史を延々と説明しています。だから、勘違いしてもおかしくないんです。また、昨年まで、日韓歴史共同研究が行われていたんですが、やんわりと終わって残念でした。将来、社会や政治の影響を受けずに、日韓が共有できる歴史を見い出すことができればと思っています。そのためにも日韓の懸け橋となる研究者になりたいですね」 博士論文は、韓国の最後の皇帝が亡くなった1926年で終わっています。今後は、王公族が、どのように消滅していったのか研究したいとのこと。 韓国併合から100年目に、掉尾を飾る論文を提示した若手研究者は、奇しくも来年、創立100周年を迎える九州大学から未来へ羽ばたこうとしています。彼のテーマが韓国併合100年という節目の年を引き寄せたのか、節目の年が彼のテーマを引き寄せたのかと思うことがあります。テーマ選択の際、私は、「誰も手を付けていない領域で、新しいパラダイムを提示できるものを選びなさい」と学生に言っています。先行研究がある方が研究のスタートは簡単です。しかし、先人の研究に佇んで、自らの足跡を残せない人が多い。処女地の開拓は大変ですが、自らが第一人者にな担当教授より新城道彦さんDATA■九州大学の関連WEBサイトへ九州大学 韓国研究Gohttp://rcks.isc.kyushu-u.ac.jp/jp/愛知県立西尾高等学校 ↓金沢大学 経済学部経済学科 ↓九州大学大学院 比較社会文化学府 修士課程 ↓九州大学大学院 比較社会文化学府 博士課程(途中1年間、韓国 延世大学語学堂へ留学) ↓九州大学韓国研究センター研究員博士論文が書籍として出版されることになり、最近は、休みの日も忙しくされているという新城さん。九州大学の学生の皆さんには、教科書に書かれていることや先生が話すことを全部信じるのではなく、それを疑う勇気も持ってほしいとのことでした。memo松原 孝俊教授まつばら たかとしれます。そして先人の模倣で終わらず、新しいパラダイムを提示できるんです。その成功例が新城君だと思っています。今後は、次のテーマ選択が重要でしょう。研究者として成長するには、コンスタントに研究テーマを見つけていかなければなりません。そういう意味では、精進も必要かもしれませんね。将来は、世界の研究者に認められるために、英語で論文を発表してほしいと思っています。■次回出演リレー大学院比較社会文化学府修士課程2年 井手竜也さんです初めは見向 き新たな研究

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