http://www.kyushu-u.ac.jp-kyudaikoho_72
28/40

27Kyushu University Campus Magazine_2010.11 本学発ベンチャーであるアキュメン・バイオファーマ株式会社が、眼の手術を安全に行うための手術補助剤(眼の染色剤)の製品化に世界で初めて成功し、欧州で承認を取得して発売を開始することとなりました。日本のバイオベンチャーが、独自の技術で開発した製品を海外で発売するのは、医薬品・診断薬分野では全国初のことです。 アキュメン・バイオファーマ社は、平成17年4月に設立され、鍵本忠尚氏が代表取締役を務めています。 鍵本代表もメンバーに入った本学医学研究院眼科学分野の石橋達朗教授の研究グループが、眼科手術に適用可能な安全で染色性の高い色素を発見し、これをもとに安全な眼科手術補助剤BBG250(主成分:ブリリアントブルーG250)を開発し、九州大学の技術移転機関である㈱産学連携機構九州(九大TLO)を通じ、九州大学から特許のライセン 10月30日九州大学で前世界銀行副総裁・西水美恵子氏の講演会が行われ、氏と学生の白熱した議論が展開された。講師である西水氏は世界銀行副総裁として、各国の首相や国王と共に国づくりに携わられてきた。その体験を中心に、日本と私達に出来る事について御講演頂いた。 西水氏が最も衝撃を受けたのは国民総幸福量で知られるブータンだ。物質的には必ずしも豊かとはいえないブータン国民を幸福に導いたのは国王の強烈なリーダーシップだ。彼は「指導者に頼る政治は弱い」、と国民一人ひとりに国への当事者意識を芽生えさせる民主改革を行った。今日のブータンを支えるのはリーダーとなった国民自身であると西水氏は語る。 「なぜ日本国民にはリーダーシップがないのか」という学生の問いに対する西水氏の答えは私達をぎくスを受けたアキュメン・バイオファーマ社が、ILMブルーとして製品化に成功したものです。アキュメン・バイオファーマ社は、オランダの眼科機器メーカーDORC(ドルク)社とライセンス契約を結び、平成22年9月に欧州全土で販売を開始しました。 もともと眼は透明な組織が多いため、硝子体などの手術においては、組織の識別のため従来から染色剤が使われていましたが、ILMブルーは、従来のものよりはるかに高い安全性が確認されています。 アキュメン・バイオファーマ社は、今後は米国や日本での発売を目指してさらに開発を進める(鍵本代表)とのことです。りとさせる。リーダーシップとは“lead yourself”―「自らを導く」こと。人の役に立ちたいと、自らを奮わせることが第一歩である、と。上に立つ者のみがリーダーではない。政治にせよ、組織にせよ、私達は何かとリーダーに責任を押し付けてしまいがちではないだろうか。小さくても私達にはできることがある。西水氏が国づくりの現場で貢献できたのも、自分にできる事を積み上げてきた結果でしかない。「リーダーに頼るな!」これも西水氏のメッセージだ。自分は何をすべきかではなく、自分にできる事をどう捉えるか。できることから始めよう。今、私達一人ひとりの当事者意識が問われている。(理学部生物学科4年 石川和弥)Kyudai福岡県庁での記者発表(平成22年9月27日)向かって左から 九大TLOの坂本社長、鍵本代表、医学研究院の石橋教授、安浦理事・知的財産本部長ILMブルー本学発ベンチャーが欧州で新製品を発売平成22年10月30日(土)本学学生有志が前世界銀行副総裁である西水美恵子氏をお迎えし、「私たちの国づくりへ〜雷龍の国ブータンに学ぶ〜」と題して、講演会を開催しました。■学生有志主催による講演会開催TOPICS西水美恵子氏

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です